細胞は、単糖であるグルコースを栄養源として利用するとともに、種々の単糖から構成される複雑な糖鎖を隣の細胞など個々の細胞の外の環境を認識するために用いています。こうした糖を認識し、分別するため、特定の糖と反応する受容体タンパク質が細胞の表面に発現され、これが糖を認識すると細胞内に情報を伝え、その結果、細胞の代謝や形態、機能が変化します。私達は、こうした生体膜表面の糖受容体を介した情報伝達を研究しています。私達が見出した神経細胞の複雑な糖鎖を認識する受容体は、単細胞生物である酵母が栄養源であるグルコースを認識する受容体と同じ仲間のタンパク質でした。神経細胞は、栄養源のセンサーと同じ仕組みを使って、神経ネットワーク形成のための相手の細胞を探していたのです。
糖や糖鎖を認識する細胞表面受容体の構造機能相関を理解することによって、生活習慣病や神経再生をターゲットとした創薬につなげるべく、主として下記の研究を行っている。