薬学部 研究室案内

Faculty of Pharmaceutical Sciences

医療薬学系

薬理学DIVISION OF PHARMACOLOGY

丹野 孝一 教授

STAFF

丹野 孝一 教授

業績

中川西 修 准教授

業績

八百板 富紀枝 准教授

業績

根本 亙 講師

業績

研究テーマ

慢性疼痛および精神神経疾患の発症機序の解明と新規治療薬の開発

研究概要

当教室では中枢薬理学の観点から、以下のテーマについて研究を進めています。

脊髄疼痛伝達機構におけるアンジオテンシンⅡの役割の解明
糖尿病性神経障害性疼痛の発現に、脊髄内のアンジオテンシン (Ang)Ⅱ 産生系の亢進と、それに伴うAT1受容体を介するp38 MAPKの活性化が関与することを明らかにし、AngⅡは脊髄における痛みの伝達物質あるいは調節物質である可能性を示唆しています。現在、糖尿病性神経障害性疼痛をはじめとする難治性疼痛に対するAng 関連薬の効果について検討を行っており、有効性を見いだしたため、この作用機序について検討を行っています。

精神神経疾患動物モデルの作製とその発症機序の解明
現在までにうつ病および統合失調症の精神神経疾患モデル動物の作製を確立し、その発症機序を行動薬理学的、生化学的ならびに病理組織学的手法を用いて明らかにしています。これらの動物モデルを使用し、うつ病および統合失調症の新規治療薬の開発を行っています。

生活習慣の乱れに基づく疾患動物モデルの作製とその発症機序の解明
マウスにレム断眠ストレスを施すことで誘発される多動などの異常行動が、注意欠如/多動性障害(ADHD)様症状に類似することを示し、これらの症状の発現ならびに治療薬の薬効発現における前頭皮質のモノアミン神経系の変化や、海馬の一酸化窒素系の関与を明らかにしています。さらに、同様のストレスによって腸管輸送能の亢進や内臓の感覚過敏などの過敏性腸症候群(IBS)様症状が誘発されることを示し、これらの症状発現には、アドレナリンα2受容体が関与することを明らかにしています。
また、上記以外にも、食習慣に着目した咀嚼行動と、情動行動障害の発現リスクを明らかにすることを目的とした検討も行っています。

主な担当科目

薬理学Ⅰ

薬学科・生命薬科学科2年次前期 / 必修 / 1単位

ねらい

薬理学は「薬物が生体に対して示す作用(薬理作用)とその作用機序について研究する学問」である。薬理学Ⅰでは薬理学を学ぶ上で基礎となる用語や概念を理解し、これらを基盤に自律神経系、知覚神経系および運動神経系に作用する薬物に関する基本的知識(薬理作用、作用機序および副作用など)を修得することを目的とする。

Message

「薬理学」を学ぶ上では、生理機能についての知識が必要不可欠です。講義予定の項目に関連する生理機能について、「生理学」の教科書を読んで理解しておきましょう(予習)。 また本科目は「薬理学Ⅱ~Ⅴ」はもちろんのこと「病態解析学」および「薬物療法学」(生命薬科学科では「疾病と治療」)を学習するための基礎知識としても重要なので十分に理解してもらいたいと思います。学習していて分からない点があったら、早めに質問して解決するよう心掛けましょう。

薬理学Ⅳ

薬学科3年次後期・生命薬科学科3年次前期 / 必修 / 1単位

ねらい

呼吸器系、泌尿器系、生殖器系、内分泌系、骨および代謝系に作用する医薬品の薬理および疾患の病態・薬物治療に関する基本的知識を修得し、治療に必要な情報収集・解析および医薬品の適正使用に関する基本的事項を修得することを目的とする。

Message

正常な状態を逸脱した時が「病気」であり、その病的状態を正常に近づけるのが「薬」です。薬物を投与したときに得られる「生体反応(薬理作用)」は仮に同じであっても、その「作用機序」は薬によって異なります。従って、「正常→病気→薬物→正常」という関連性を常に意識しながら、予習・復習を行うことで、薬理作用、作用機序および副作用などについて理解を深めてもらいたいと思います。

薬効薬理試験評価概論

薬学科4年次後期 / 必修 / 1単位

ねらい

医薬品の研究開発における非臨床試験(特に薬効薬理試験)で用いられるさまざまな試験法の基本概念および新薬の薬理作用を修得することを目的とする。

Message

医薬品の開発プロセスにおいて薬効薬理試験は、医薬品の主作用を予測する上で極めて重要な試験です。 ヒト疾患に類似したモデル動物研究、それらを用いた薬効薬理試験について概説します。また試験によって見いだされた医薬品の例に、新薬を挙げながら紹介するので、その基本的知識についても理解してもらいたいと考えています。