薬物動態学|研究室案内【薬学部】|薬学部|東北医科薬科大学

薬学部 研究室案内

Faculty of Pharmaceutical Sciences

臨床薬剤学系

薬物動態学DIVISION OF DRUG ABSORPTION AND PHARMACOKINETICS

富田 幹雄 教授

STAFF

富田 幹雄 教授

業績

森本 かおり 講師

業績

石井 敬 講師

業績

研究テーマ

薬物の生体膜透過制御因子の機能・構造解析基づいた体内動態制御ならびにDDSの創製

研究概要

「薬物トランスポーター群」は、小腸、肝臓、腎臓、脳など種々の組織・臓器細胞膜上に発現し、薬物の生体膜透過に影響を与えます。これらトランスポーターの分子機構が明らかになれば、薬物の吸収・分布・排泄過程の変動による薬効発現・毒性発現の理解につながります。
トランスポーターの発現量および輸送活性の薬物間相互作用(阻害または誘導)、病態ならびに遺伝子多型による変化が、薬物治療効果・毒性発現の原因であることが明らかにされています。これらの機序解明および情報統合を行うことが、薬物療法の最適化へつながると考えられます。
また、トランスポーターは生理活性物質および生体内代謝物の輸送においても重要な役割を果たしていることから、生体膜透過と疾患との関連について明らかにすることの意義は極めて大きく、新規医薬品開発における分子標的としての重要性を示すことを可能にすると考えられます。
合理的な「ドラッグデリバリーシステム(DDS)」の開発には、薬物動態を決定する因子を明確にし、その中で影響力の大きなメカニズムを利用するのが効果的です。
薬物は投与部位からの吸収、標的組織を含む種々組織への移行、そして腎・肝を経た消失という過程を経ますが、いずれも各組織・臓器を形成する細胞膜透過過程を含んでおり、同時にその過程が全体の律速となります。
従って、薬物分子の細胞膜透過をコントロールすることは、DDSの開発につながります。つまり、トランスポーターの生体膜輸送に関わる寄与率と、そのメカニズムを利用したDDS開発が望まれます。
このような観点から私たち薬物動態学教室では、薬物・異物の生体膜透過機構ならびに病態による変動、さらにはDDSへの応用について研究をしています。

❶潰瘍性大腸炎時の体内動態変動および根治を可能とするDDS開発

❷有機アニオン輸送体OATP4A1の小腸薬物吸収における役割の解明

❸多糖類の消化管吸収機構および適正使用に向けたDDSの開発

在学生へのメッセージ

薬物動態学は医学部、看護学部など理系学部にはない薬学部独自の学問です。薬物動態学をしっかりと学び、その知識を臨床現場・チーム医療に活かして欲しいと思います。医薬品は薬効を期待するために投与(服用)しますが、生理的物質とは異なり生体(身体)にとっては異物です。

そのため、異物(薬物)に対して身体がどのようなレスポンスをするか、それが薬物動態学であり、薬物の解毒排泄(肝代謝、腎排泄)、タンパク結合といった現象を指します。

このような薬物の生体内運命の変動が薬効や副作用の個人差を生む原因となりますので、薬物動態理論の理解は最適な投与計画の立案ならびに薬物間相互作用の理解に繋がります。

薬剤師として臨床現場で指導的立場になれるよう薬物動態学を幅広くかつ深く学んで頂ければと思います。

主な担当科目

薬物動態学Ⅰ

3年次前期 / 必修 / 1単位

ねらい

有効かつ安全な薬物治療を行うためには、薬物の血中濃度を有効域に保つことが必要である。本科目では、薬物の血中濃度を制御する体内動態(吸収、分布、代謝、排泄それぞれの過程)に関する基本的知識と、それらを解析するための基本的技能を習得することを目的とする。

Message

薬学部においては2006年から6年制の教育システムが開始され、医療における医師のパートナーとして、より高度の知識を持ってチーム医療に貢献できる専門性の高い薬剤師の誕生が期待されるようになりました。医療における医師とのコラボレーションにおいて重要なことは、自分が必要とするものをパートナーが持っていることであり、そうした点にこそ両者の協働に不可欠である「相手に対する信頼と尊敬」が生まれると考えます。
薬物動態学は他の理系学部(医学部・看護学部など)にはない薬学部独自の学問です。薬剤師として医師、看護師との三者によるチーム医療を遂行する上で、薬物動態理論の習得は薬物治療における最適化投与計画には必須です。
使用する教科書には過去の国家試験問題を掲載しており、その他に練習問題も用意します。当日の復習としてそれらを活用し、知識を整理してください。予習および復習(各1時間程度)をすることを勧めます。

薬物動態学Ⅱ

3年次後期 / 必修 / 1単位

ねらい

薬物の体内動態をコンパートメントモデル解析、生理学的モデル解析、モーメント解析など数種の解析技術を学び、血中濃度を適切に保つためのモニタリングを介して、薬物治療における最適化投与計画の立案を目的とする。

Message

薬学部においては2006年から6年制の教育システムが開始され、医療における医師のパートナーとして、より高度の知識を持ってチーム医療に貢献できる専門性の高い薬剤師の誕生が期待されるようになりました。医療における医師・看護師とのコラボレーションにおいて重要なことは、自分が必要とするものをパートナーが持っていることであり、そうした点にこそ両者の協働に不可欠である「相手に対する信頼と尊敬」が生まれると考えます。
薬物動態学は他の理系学部(医学部・看護学部など)にはない薬学部独自の学問です。薬剤師として医師、看護師との三者によるチーム医療を遂行する上で、薬物動態理論の習得は、薬物治療における最適化投与計画には必須です。
使用する教科書には、過去の国家試験問題を掲載しており、その他に練習問題も用意します。当日の復習としてそれらを活用し、知識を整理してください。予習および復習(各1時間程度)を勧めます。

実験実習Ⅸ

4年次前期 / 必修 / 1単位

ねらい

下記に関する知識、技能を習得することを目的とする。
❶粉体、界面活性剤などの製剤材料の物性や薬物の溶解度、およびpkaの算出
❷代表的製剤の調製および製剤に関する試験法
❸薬物の体内動態(生体内運命)に関与する薬物代謝酵素ならびにそれらの誘導と阻害
❹1-コンパートメントモデルに基づいた薬物速度論解析ならびにモデル非依存的モーメント解析
❺薬物投与設計の重要な手段であるTDMならびにデータ解析

Message

実習を行う前に、事前に実習テキストで実習項目の確認ならびに予習をしてください(30分程度)。
すでに3年次に習得している薬物動態学Ⅰ、薬物動態学Ⅱ、製剤学、製剤工学概論の実習となりますので、授業で使用した教科書、プリントにも目を通しておいてください(1時間程度)。また、実習終了後は実習テキストなどで復習をしてください(1時間程度)。