薬学教育センター

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第11回 東北薬科大学生涯教育講演会

日時: 平成19年11月17日(土) 14:00~17:00
会場: 東北薬科大学講義棟 701講義室
テーマ: 「精神神経系疾患と処方解析」

講演1

「糖鎖シグナルによる神経細胞分化」

東北薬科大学生体膜情報学 教授 東 秀好

講演2

「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために (5)」
-精神神経系疾患を中心とした処方解析-
東北大学高等教育開発推進センター

保健管理センター 准教授 山崎 尚人 先生

処方解析 東北薬科大学臨床薬剤学 講師 岸川 幸生

参加費:無料

薬剤師研修センター認定: 2単位
日本病院薬剤師会生涯研修認定:1.5単位


講演会要旨

講演1 要旨

「糖鎖シグナルによる神経細胞分化」

  東北薬科大学生体膜情報学  東  秀好

 

脊髄損傷などで見られるように、中枢神経系の神経細胞は損傷を受けると再生は非常に困難です。それにはいくつかの原因が知られています。一つは、成体の中枢神経は再生能が低下しているということです。神経成長因子とその受容体、細胞接着因子といった軸索の伸長を促進する因子が減少しています。もう一つは、神経軸索伸長を阻害する因子の存在です。中枢神経系の髄鞘にはMAG(ミエリン関連糖タンパク)、Nogo-Aといった阻害タンパク質が存在します。また、神経損傷に反応したアストロサイトやオリゴデンドロサイトというグリア細胞、および、マクロファージが細胞外マトリクスの成分であるコンドロイチン硫酸プロテオグリカン (CSPG)等の阻害因子を合成分泌します。

一方、末梢神経では、別のグリア細胞が神経栄養因子などを分泌することで神経の再生を促進し、髄鞘には阻害因子もありません。ところで、CSPGは特有の硫酸化糖鎖から成るプロテオグリカンですが、上記の軸索伸長阻害作用を持つ一方で、軸索伸長作用も持っています。また、MAGは特定の糖鎖構造を持つ酸性糖脂質(ガングリオシド)に結合することで神経再生を阻害しているという報告がありますが、我々は別の糖鎖構造を持つガングリオシドが神経突起の伸展を促進することを見出しています。

さらに、このようなガングリオシドでは、損傷した末梢神経の再生を促進する効果も知られています。我々は、CSPGとガングリオシドの神経突起伸展に対する作用を比較したところ、CSPGとガングリオシドでは突起伸展作用に質的な違いがあることを見出しました。さらに、糖鎖の情報が細胞内に伝達される仕組みの一部を明らかにしつつあります。これらの糖鎖シグナルが、神経再生技術に繋がることを期待しています。

講演2 要旨

「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために(5)」
-精神神経系疾患を中心とした処方解析-

 東北大学高等教育開発推進センター
保健管理センター         山崎 尚人

 

今回は精神科疾患に関してお話しすることになります。一口に精神科疾患といいましても、その範囲はかなりの広がりを持っております。例えば、わたくしの現在の職場であります大学保健管理センターにおいては、学業、対人関係などのストレッサーに対しての精神的な反応としての適応障害、状態像としては抑うつ状態、不安状態を呈する方が中心となります。また、以前所属していた精神科病院においては統合失調症、うつ病(気分障害)の患者様がかなりの部分を占めておりましたし、痴呆疾患センターがあるところでは認知症の患者様も多くなります。高齢の方を対象にした領域があれば、当然小児精神医学もありますし、自閉症を中心とした疾患は現在のわたくしの職場においても対象となっております。
そこで、あまりに対象を広げすぎましても焦点の絞れないお話になってしまいますので、今回は「抑うつ状態」、「不安状態」、「幻覚妄想状態」の三つの状態像を中心とした内容を組んでみようと思います。疾患としてはその三つの状態像から最も想起されやすいものを取り上げて説明するつもりですが、関連する疾患に関しても若干触れるつもりです。
精神科に通院されている患者様の場合、病識、現実見当識、認知機能障害の問題も関わってくるため、服薬指導に関して困難を感じる場面が多々あるかと思います。皆さま方の精神科疾患に対するより良い理解に貢献できるような内容になりますよう努力いたしますが、なにぶん薬剤師の方々にお話しするのは初めての試みです。皆さま方のご期待に添えるような内容になっていますかどうか心許ない点もありますが、薬剤師の生涯教育への一助となればと思っておりますのでよろしくお願いいたします。

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