薬学教育センター

第14回 東北薬科大学生涯教育講演会

日時: 平成21年5月30日(土) 14:00~17:00
会場: 東北薬科大学講義棟 701講義室

講演1

「医薬探索資源としてのホヤ由来アルカロイド」

東北薬科大学天然物化学教室 教授 浪越 通夫

   

講演2

「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために(7)」
-EBMからみた慢性閉塞性肺疾患(COPD)薬物治療の現状-

東北薬科大学病態生理学教室 准教授・医師 大河原 雄一

 
参加費:無料
 
薬剤師研修センター認定: 2単位
日本病院薬剤師会生涯研修認定:1.5単位


講演会要旨

講演1 要旨

「医薬探索資源としてのホヤ由来アルカロイド」

東北薬科大学天然物化学教室 浪越  通夫

 

 天然物化学は、植物、動物、微生物などの生物が作る化合物(天然物)の化学的研究で、クスリやその原料となる化合物を数多く発見して来た。その中には、ペニシリンやタクロリムスなどのように医療に大きなインパクトを与えたものも少なくない。しかしながら、新薬の開発という視点からは(古典的)天然物化学は効率が良いとは言えなかったため、多くの製薬企業が天然物の探索から手を引いた。
 
 一方、学問では、天然物化学は生物の生理や生態(生命現象や生物現象)を分子レベルで解き明かすケミカルバイオロジー(化学生物学)やケミカルエコロジー(化学生態学)の新しい領域に進出している。このような、新しい研究領域への挑戦により培われた技術や知識などは、医薬探索にもフィードバックされ、新しい方法論へと発展している。これを「化学生態学に基づく医薬活性物質の探索」と名付けた。また、一時期衰退した医薬探索資源としての天然物の利用が、21世紀になって復活し始めている。その最大の理由は、天然物の化学構造の多様性である。構造の多様性は薬理活性の多様性をもたらし、医薬探索資源としての重みを生む。そこで重要なのは、いかにして、より効率良く、目的の薬理活性を示す天然物を見つけるかということであり、それを達成するのが「化学生態学に基づく医薬活性物質の探索」である。また、未利用の生物資源を研究することも、新しい天然物を発見する近道である。
 
 このようなことから、我々は海で固着生活を営む無脊椎動物、特に海綿とホヤを生物資源として研究している。海の無脊椎動物は、移動速度の遅いものや全く動かないものが殆どで、微生物の感染や寄生あるいは魚などによる捕食などの危険を化学物質により防御している。それらの化合物は抗菌剤や抗癌剤への応用が考えられる。面白いことに、ホヤは多様なアルカロイドを持っている。アルカロイドは医薬としても重要な化合物群で、様々な天然物および天然物をもとにして作られた化合物が医薬品として利用されている。本講演では、我々の最近の研究の中から、インドネシアの群体ボヤから単離したアルカロイドの抗癌活性について紹介する。

講演2 要旨

「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために(7)」
-EBMからみた慢性閉塞性肺疾患(COPD)薬物治療の現状-」

東北薬科大学病態生理学教室 大河原 雄一

 

 慢性閉塞性肺疾患(以下、COPD)は、有毒な粒子やガスの吸入によって生じた肺の炎症反応に基づく進行性の気流制限を呈する疾患であり、わが国ではその原因のほとんどが喫煙である。現在、わが国では高齢化が急速に進行しているが、それと同時に喫煙率が高い年齢層も高齢化しており、COPD患者が今後急激に増加して社会的・医療経済的に大きな問題になることが予想されている。
 治療に際しても、患者個々によって病態が異なっていること、肺局所のみならず全身性慢性炎症症候群としての対応が必要なこと、患者のほとんどが高齢者であることから全身的な影響や効果に注意する必要があることなど、それぞれの患者に即した個別的な対応が求められる。
 従って今回は、COPDの病態に対する最近の知見やガイドラインに沿った治療内容とともに、高齢者特有の病態を考慮した薬物治療ついて紹介してみたい。

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