薬学教育センター

第17回 東北薬科大学生涯教育講演会

日時: 平成22年10月30日(土) 14:00~17:00
会場: 東北薬科大学講義棟 70周年記念講堂

講演1

「C型肝炎ウイルスの基礎研究の展開と応用」

東北薬科大学微生物学教室 教授 久下 周佐

   

講演2

「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために(8)」
-より効果的な眼科治療のために-

さど眼科 院長 佐渡 一成

 
参加費:無料
 
薬剤師研修センター認定: 2単位
日本病院薬剤師会生涯研修認定:1.5単位


講演会要旨

講演1 要旨

「C型肝炎ウイルスの基礎研究の展開と応用」

東北薬科大学微生物学教室 久下 周佐

 

  パスツールによる「微生物の自然発生説の否定」、コッホによる「炭疽菌の純粋培養」など、人類は病原体の存在を認識する(実体を観る)方法論の確立し、そこから病原体と戦う方法を開発してきた。同様の戦いは150年後の現在も継続している。
 
 輸血後の肝炎は、1970年代にA型およびB型肝炎ウイルスが発見された後も発生した。実に、全輸血例の10~20%、数にして年間20万人の非A非B型輸血後肝炎が発生していた。この輸血後肝炎は高率に慢性化し数十年後に肝硬変・肝がんに移行しやすいとされていた。なぜこの状態を長い間打破することができなかったのか?非A非B型病原体の実態が不明であり、輸血用血液から病原体を排除することができなかったためである。分子生物学の発展により開発された技術は人類に恩恵をもたらしている。HCVは他のウイルスと異なり培養細胞で増殖させることが不可能でその実態は暗闇の中であったが、新たな技術は未知の非A非B型肝炎ウイルスを探し当てる手段となった。1979年、米国のグループは非A非B型肝炎のヒト血清を感染させたチンパンジーの血清からウイルスゲノム断片のcDNAクローニングに成功した。このcDNA断片を基に遺伝子工学的手法によりウイルス特異的蛋白質を作り出し、血清中の抗HCV抗体の検出法が確立された。その結果、世界中の非A非B型肝炎はHCV感染が原因であることが明らかになり、輸血によるHCVの感染を防ぐことが可能となった。一方、HCV慢性感染は、高率で肝硬変、肝がんを誘発することから、本邦において100~200万人、世界で1億7000万人といわれているHCVキャリアからのウイルスの駆除が急務である。現在ではPEG化インターフェロンとリバビリン併用で著効率は5~7割程度まで上昇しているが、副作用も強く解決すべき問題が多く残されている。
 
 HCVが発見され約20年、現在ではやっと試験管内でHCVを増殖させ分子遺伝学的な解析が可能となった。すなわちゲノム構造の解明が第一段階とすれば、やっと第二段階の壁を越えたといえる。その結果ウイルス複製を抑制する新規化合物の選択やC型肝炎ウイルスの増殖機構の解析がなされた。本講演では、HCVの基礎研究の展開と貢献に関して概説したい。

講演2 要旨

「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために(8)」 -より効果的な眼科治療のために-

さど眼科  佐渡 一成

 

 情報の8割は視覚を通して入手されると言われています。視覚が損なわれたことによる我が国の「社会的コスト」は、現在、診療費や薬剤費など直接的経済コストとしてわかりやすいものが1兆3千億、就労の機会の減少や障害者を支える家族や社会全体の負担である「間接的経済コスト」が1兆6千億円、そして、QOL低下分である「疾病負担コスト」など目につきにくいものが5兆9千億円と大きく、総額は1年あたり約8兆8千億円にのぼります。
 
 現在、我が国の視覚障害者は推定164万人であり、このうち約19万人が失明者、145万人がロービジョン者です。また、視覚障害者の50%は70歳以上であり、視覚障害者数は人口構成の変化に伴い現在の1.3%から2030年には2.0%に増加すると推定されています。
 
 現在、我が国の2大失明原因は緑内障と糖尿病網膜症ですが、これらの疾患であっても早期発見と適切な治療によって視機能を維持することは可能です。失明によるQOLの低下は深刻ですし、失明しても患者さんの人生は続きます。適切な治療によって視機能の低下を防ぐことは、本人のQOL低下を防ぐだけでなく、就労機会の減少や障害者を支える家族や社会の負担を減らすとことにもなります。この視覚障害を減らすためには眼疾患の予防と早期発見、治療が重要で、効果的な治療のためには適切な服薬指導も非常に重要です。
 
そこで今回は、眼科の処方から予想される疾患や症状、危険性などに加え、薬剤師さんにお願いしたい「患者さんの手助けになる助言」などを紹介させていただく予定です。引き続き、患者さんの視機能を守るためにご協力をお願いいたします。

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