薬学教育センター

第20回 東北薬科大学生涯教育講演会

日時: 平成24年10月27日(土) 14:00~17:15
会場: 東北薬科大学講義棟 70周年記念講堂
テーマ: 薬剤師業務の充実と支援

講演1

「薬剤師として知っておきたい薬疹の診断と治療」

東北大学大学院医学系研究科皮膚科学分野教授 相場 節也

講演2

「薬物輸送制御タンパク質の発現調節に立脚した
ドラッグデリバリーシステムの開発に向けて」

東北薬科大学薬物動態学教室教授 富田 幹雄

 
参加費:無料
 
薬剤師研修センター認定: 2単位
日本病院薬剤師会生涯研修認定:1.5単位


講演会要旨

講演1 要旨

「薬剤師として知っておきたい薬疹の診断と治療」

東北大学大学院医学系研究科皮膚科学分野教授 相場 節也

 

 私が皮膚科医に成り立ての頃、主治医に薬疹患者の処方薬を問い合わせたところ、私は薬疹を起こすような薬は処方していないとしかられたことがある。今では笑い話のような話だが、その当時、年配の先生方の処方薬剤は限られていたので、私は薬疹をおこしたことなどないと豪語されたのも満更嘘ではなかったかもしれない。また、その当時、医者は、薬疹をおこしてしまうと何か罪悪感を感じていたが、時代は変わって、薬疹はあたりまえの現象となり、薬疹をおこして患者に申し訳無いと思う先生は多分絶滅危惧種になっていることと思われる。
 
 確かに、最近の分子標的薬と分類される抗がん剤は、皮膚症状がでるのが当たり前で、一部の症状は薬の有効性と相関するとも言われている。また、昨年発売されたC型肝炎の治療薬であるテラビックは、薬疹による重篤な副作用の発生を未然に防ぐため、使用にあたって皮膚科医との連携が義務付けられている。
 
 このように、薬疹は昔とはかなり様変わりした。薬疹の多くは、原因薬剤を中止すれば症状は比較的速やかに消退する。しかし、なかには、Stevens-Johnson症候群(SJS)や中毒性表皮壊死症(TEN:toxic epidermal necrolysis)、薬剤誘発性過敏症症候群(DIHS:drug-induced hypersensitivity syndrome)、急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP:acute generalized exanthematous pustulosis)などように、時に肝・腎障害など臓器障害を併発し死に至る重篤なものもある。また、DIHSは、原因薬をやめても症状が治まらないのが特徴である。いずれにしても、医師、薬剤師は、薬のプロフェッショナルとして、薬疹についての十分な知識を求められている。
 
 本講演では、日頃薬疹を診察している皮膚科医として、薬疹の診断、原因薬の特定、特に注意の必要な薬疹、最近よく経験する薬疹などについてお話する。

講演2 要旨

「薬物輸送制御タンパク質の発現調節に立脚した
ドラッグデリバリーシステムの開発に向けて」

東北薬科大学薬物動態学教室教授 富田 幹雄

 

 一般に、経口投与された薬物のバイオアベイラビリテイー(BA)は、小腸ならびに肝臓における初回通過効果によって大きく左右される。その後、循環血中に移行した薬物は、肝臓や腎臓といったクリアランス臓器から消失の運命をたどる。よって、薬物の血中濃度は、消化管吸収ならびにクリアランス臓器の機能によって制御されていると言える。薬物の血中濃度は、薬効・副作用を評価する一つの指標であるため、消化管吸収とその後の体内動態(運命)の理解は、薬物療法を遂行するうえで極めて重要である。
 
 一方、生体内には、様々な機能性タンパク質が臓器・組織・細胞選択的に発現し、十分に機能している。これらのタンパク質の中には、薬物・異物の輸送の方向性を決定づけるものが数多く存在している。つまり、これらのタンパク質の発現・機能を人工的に制御できれば画期的なドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発に繋がる。
 
 本講演では、消化管粘膜上皮細胞ならびにクリアランス臓器における薬物輸送タンパク質の発現・機能が、薬物の血中濃度を制御している例について、虚血性疾患モデルを例にお話し致します。また、BAの向上に関する戦略の一つとして、消化管粘膜透過性の観点から述べてみたいと思います。さらに薬物輸送の方向性を決めるタンパク質の発現・機能レベルを制御することによるDDSについても紹介する予定です。

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