薬学教育センター

第22回 東北薬科大学生涯教育講演会

日時: 平成25年11月16日(土) 14:00~17:15
会場: 東北薬科大学講義棟 70周年記念講堂

講演1

「健康日本21と社会保障改革の方向性」

衆議院議員
東日本大震災復興特別委員会委員長 秋葉 賢也

講演2

「ポジトロンCT(PET)による癌診断の臨床的有用性」

東北薬科大学放射線核医学教室教授 福田  寛

 
参加費:無料
 
薬剤師研修センター認定: 2単位(申請中)
日本病院薬剤師会生涯研修認定:1.5単位


講演会要旨

講演1 要旨

「健康日本21と社会保障改革の方向性」

衆議院議員 東日本大震災復興特別委員会委員長
秋葉 賢也

 

1 健康日本21
 ○ 平成25年度から10年間の国民健康づくり運動を推進するため、第2次「健康日本21」を推進。第1次と異なり、具体的な数値目標を大臣告示に明記し、目標の実効性を高めることにした。
 
 ○ 特に、「健康寿命(日常生活に制限のない期間)の延伸」が大きな柱。平均寿命(男性79.55、女性86.30)は平成13年と平成22年の約10年で比べると、男性は1.48年、女性は1.37年延びているが、健康寿命(男性70.42、女性73.62)の伸びは、男性1.02年、女性0.97年と平均寿命の伸びよりも小さい。健康寿命が平均寿命を上回って延びることを目標としている。
 
 ○ 食生活や禁煙も重要だが、運動不足を改善し、ロコモティブシンドロームを予防していくことが重要。メタボリックシンドロームの認知度は9割を超えるまでになったが、ロコモティブシンドロームの認知度は極めて低い。「メタボからロコモ」として、認知度を高めていく必要がある。
 
2 社会保障改革の方向性
○ 社会保障制度を持続可能な制度として確立していくことが、国民の安心にとって極めて重要な政策課題。このため、国民会議での20回にわたる議論を踏まえ、現在開催されている臨時国会に「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案」(社会保障改革プログラム法案)が提出され、審議されている。
 
○ この法案には、少子化対策、医療制度、介護保険制度、公的年金制度といった社会保障制度の改革の工程表が示されている。
 
○ また、今般の社会保障・税一体改革により、消費税率引上げによる増収分を含む消費税収は、全て社会保障財源化される。税制抜本改革法に則り、消費税率が引き上げられた場合、「社会保障の安定化」に4%程度(11.2兆円)、「社会保障の充実」に1%程度(2.8兆円)が向けられることになる。
 
○ 「社会保障の充実」について、具体的には、①待機児童の解消のための子ども・子育て支援の充実、②在宅医療の充実などの医療・介護サービスの提供体制改革、③国民健康保険の低所得者に対する保険料の軽減などの医療・介護保険制度の改革、④低所得高齢者・障害者への福祉的給付などの年金制度の改善などに取り組んでいく。
 
 ○ 医療に関しては、安倍政権において、新たに「健康・医療戦略」を策定し、新しい医療技術の実用化、健康伸長産業の新規創出、国際医療協力の推進などを進めている。
   また、再生医療を国民が迅速かつ安全に受けられるようにするため、再生医療新法や薬事法改正を行い、安全性を確保しつつ、承認の早期化を図っていく。
 
 ○ さらに、社会保障改革プログラム法案の工程表に基づき、医療法や介護保険法の改正にも今後取り組み、在宅医療・介護の充実強化や医療・介護の従事者の確保・処遇改善、地域包括ケアシステムの構築などを進めていく。

講演2 要旨

「ポジトロンCT(PET)による癌診断の臨床的有用性」

東北薬科大学放射線核医学教室教授  福田  寛

 

私は1980年代の初めから30年以上にわたってPETによる癌診断法の開発とその臨床応用に取り組んできました。当時、「ペット」と言えば、愛玩動物のペットだと受け止められましたが、最近では一般の方でもPETと言えばすぐわかっていただけるようになったのは、隔世の感があります。2002年に保険診療として採用されたこともあり、全国的に普及して、現在、PET検査が可能な施設は全国に300カ所以上あります。また、仙台近辺には5カ所もあります。
 
がんは増殖のためにエネルギー源を必要としておりグルコースを大量に消費します。また、嫌気性解糖に傾いているために好気的解糖と同じ数のATPを産生するためには約10倍のグルコースが必要です。18F-フルオロデオキシグルコース(18F-FDG)はグルコースの類自化合物で、細胞膜輸送、ヘキソキナーゼによるリン酸化まではグルコースと同様ですが、これ以後の代謝を受けず組織にトラップされます。したがって糖代謝の盛んな組織に多く集積することになります。がんで亢進している糖代謝を利用する画像診断ということになります。18F-FDGによるPETがん診断はがんの診療において重要な役割を果たしており、不可欠な検査になりつつあります。講演では以下の臨床的有用性について解説します。
 
1) がんのイメージング:最近のPET装置では全身の撮影を行うのに15分くらいで済み、どこの部位のがんでも常に全身を検索してがんの所在を明らかにします。
 
2) 腫瘍の良性・悪性の鑑別:一般に悪性のがんほど18F-FDGの集積が高いことを利用して良性・悪性の鑑別を行います。
 
3) がんの進行度の判定:腫瘍の大きさ、リンパ節転移の有無、全身転移の有無を判定してがんの進行度(病期)を判定します。
 
4) がんの再発の判定:がんを治療した後、長期間にわたって経過観察を行いますが、しばしばCTやMRIでも再発なのか、治療した後の瘢痕なのか区別が困難な場合があります。PETはこの判定に有用です。
 
18F-FDG以外にも、標識アミノ酸や核酸など数多くのPETがん診断薬が開発されています。また、治療抵抗性の原因となる低酸素細胞を画像化するプローブやがんで過剰発現しているタンパクや受容体を認識するプローブなどがあります。東北大学、東北薬科大学でも新規の薬剤を開発する研究が行われています。

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