薬学教育センター

第28回生涯教育講演会

平成27年度生涯教育プログラムの一環として、
「東北薬科大学第28回生涯教育講演会」を開催いたしました。

日時: 平成27年12月12日(土) 午後2:00~5:15
会場: 東北薬科大学講義棟(仙台市青葉区小松島4-4-1)
主催: 東北薬科大学
共催: 東北薬科大学同窓会、日本薬剤師研修センター、
宮城県薬剤師会、宮城県病院薬剤師会、仙台市薬剤師会
後援: 日本薬学会東北支部、東北薬科大学同窓会宮城支部

講演1

「動き始めた漢方診療ガイドラインを理解し適切な服薬指導をするために」

東北薬科大学生薬学教室教授 佐々木 健郎

講演2

「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために(12)
-呼吸器疾患の薬物治療の現状と処方解析-」

東北薬科大学病院副院長兼 呼吸器腫瘍センター長・病院教授 田畑 俊治

 
参加費: 無料
参加資格: 特になし
 
日薬剤師研修センター認定: 2単位1)
日病薬病院薬学認定薬剤師制度(研修番号III-1:2単位)2)
宮城県病院薬剤師会生涯研修認定:1.5単位


講演会要旨

講演1 要旨

「動き始めた漢方診療ガイドラインを理解し適切な服薬指導をするために」

東北薬科大学生薬学教室教授 佐々木 健 郎

 

天然物医薬資源をクルードに用いる伝統医学の国際標準化は、そのストラテジーが中医学を基準に行われようとした方向性への警鐘から頓挫している。しかし、そのことをきっかけに、日本独自の漢方診療における標準化を目的とした漢方診療ガイドライン(KCPG)が作成され2009年から正式に公開されている。2015年時点での収録件数は91件であり、これは調査総数の11.6%に相当する。ランクAに充当されている20種の症状のガイドラインには、

① 通年性アレルギー性鼻炎に対する小青龍湯の適用、
② 咳感受性の亢進している気管支喘息に対する麦門冬湯の適用
③ 認知症周辺症状に対する抑肝散の適用

等、漢方方剤の臨床適用の代表的なものとして周知され、臨床販売量・金額ともに販売実績の上位にランクされるものが多数含まれている。

 

その理由として、漢方方剤の適正使用において求められる「方証相対」に基づいた「証」の概念に根拠を求める「随証治療」に対して抵抗がある場合でも、「対症療法」の感覚で症状や病名から方剤を選択する治療を行うことが可能であるからではないかと推察される。しかし、本来は「証」を見極めなければ方剤の選択はできないとされており、6年制薬学(医学)部教育において漢方医学が必須科目として推奨されている中で、薬剤師に対する漢方理論の正確な理解・説明と服薬指導に対する期待はこれまでにないほど高まっていると考えられる。

 

その例として、麦門冬湯は漢方医学では石膏剤(白虎湯)とその類方として分類され、配合される麦門冬、半夏、粳米、人参、甘草、大棗の「薬味」、「薬性」、「薬能」を理解したうえで方剤を用いる必要があるが、その際「虚熱に由来する上焦の燥証から惹起される渇き、すなわち煩渇を去ること」が随証の基本と考えられる。しかし、陰陽論からの陰陽、虚実、寒熱、表裏、六病位、五行論からの五臓、さらに気血水、四診といった漢方理論の正確な理解がなければその治療方針を理解することは極めて困難になる。

 

以上のことから、本講演ではKCPGを正しく理解するために、代表的漢方方剤の適用に対する漢方医学理論と現代薬理学の両面からのアプローチについて概説する。さらに、方剤配合重要生薬であるがエビデンスに乏しいとされる石膏、竜骨、牡蠣を代表とする無機物を主とする生薬の方剤配合意義について、当教室で研究を行っている「漢方方剤煎出過程における石膏あるいは竜骨、牡蠣による配合生薬主要成分への影響」について、非酵素的糖化反応への影響から検討した結果についても合わせて紹介する。

講演2 要旨

 

「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために(12)
-呼吸器疾患の薬物治療の現状と処方解析-」

東北薬科大学病院副院長兼呼吸器腫瘍センター長・病院教授

田 畑 俊 治

 

70歳以上の日本人のうち、210万人が代表的な呼吸器疾患である閉塞性肺疾患(以下、COPD)を罹患している。

COPDの患者さんは概して高齢で、長い喫煙歴のため、動脈硬化や高血圧に付随する脳心血管疾患を併存することは周知の通りであるが、最近では、その他にも骨粗鬆症、筋力低下、筋萎縮などの筋骨格系の疾患、逆流性食道炎(GERD)や消化性潰瘍、慢性便秘、過敏性胃腸障害などの消化器疾患、貧血、耐糖能障害などの代謝性疾患から抑うつ状態や認知症などの精神疾患まで多岐に渡って影響を及ぼすことがわかってきた。

 

そのため、我々が日常的に扱う肺癌(COPD合併例が多い)に対する外科療法の際、周術期を含め、術後長期にわたってCOPDの呼吸器症状のみならず併存する呼吸器外症状にも気を配らなければならない。

 

しかしながら、このような患者さんのお薬手帳をみると処方薬の種類や数も多く、これに術後の鎮痛薬等が追加されると内服するだけでお腹がいっぱいになると訴える患者さんも少なくない。

 

以上のようなCOPDを合併した手術患者さんに対する薬物療法の最近の動向について紹介する。

 

処方解析ではCOPDを合併した肺癌患者さんのうち、心合併症、糖尿病合併症のある症例を提示する。

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