薬学教育センター

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第29回生涯教育講演会

平成28年度生涯教育プログラムの一環として、
「東北薬科大学第29回生涯教育講演会」を開催いたしました。

日時: 平成28年7月2日(土) 午後2:00~5:15
会場: 東北医科薬科大学講義棟(仙台市青葉区小松島4-4-1)
主催: 東北医科薬科大学
共催: 東北薬科大学同窓会、日本薬剤師研修センター、宮城県薬剤師会、宮城県病院薬剤師会、仙台市薬剤師会
後援: 東北薬科大学同窓会宮城支部

講演1-1

「新コアカリキュラムにおける薬剤師のフィジカルアセスメント」

東北医科薬科大学薬学部薬剤学教室特任教授 鈴木 常義

講演1-2

「東北医科薬科大学薬学部のフィジカルアセスメント実習の実際」

東北医科薬科大学薬学部臨床薬剤学教室講師 薄井 健介

講演1-3

「薬学部におけるフィジカルアセスメント講習の実際」

東北医科薬科大学薬学部病態生理学教室教授 高橋 知子

講演2

「薬剤師のためのフィジカルアセスメント-薬剤師が知っておきたい皮膚科領域の症候-」

東北大学大学院医学系研究科皮膚科学分野准教授 山﨑 研志

 
・参加費 無料
・参加資格 特になし

 
・日薬剤師研修センター認定: 2単位
・日病薬病院薬学認定薬剤師制度(研修番号III-1:2単位)
・宮城県病院薬剤師会生涯研修認定:1.5単位


講演会要旨

講演1-1 要旨

「新コアカリキュラムにおける薬剤師のフィジカルアセスメント」

東北医科薬科大学薬剤学教室特任教授 鈴 木 常 義

 

新しい薬学教育モデル・コアカリキュラム(以下、新コアカリ)は、平成27年度から導入され、現在2年生まで新コアカリに基づく教育が進められております。新コアカリの特徴としては、 ①医療人である「薬剤師として求められる基本的な資質」を設定し、②学習成果基盤型教育に力点を置いて「基本的な資質」を身に着けるための一般目標(GIO)と到達目標(SBO)を明示して、③医療人としての薬剤師を養成するため「A基本事項」、「B薬学と社会」を充実し6年間継続した学修を行い、④「F薬学臨床」では今後の薬剤師業務の進歩を想定し大幅に修正し、他の大項目と体系的に関連づけて教育できるように見直されております。

 

フィジカルアセスメントは、【F-(3)-①患者情報の把握】に新しく加わった項目です。実務実習に出る前に大学で学習する項目として、「3.前)身体所見の観察・測定(フィジカルアセスメント)の目的と得られた所見の薬学的管理への活用について説明できる」並びに「4.前)基本的な身体所見を観察・測定し、評価できる。(知識・技能)」が示されました。さらに病院実習あるいは薬局実習では、「7.患者の身体所見を薬学的管理に生かすことができる。(技能・態度)」の項目が示されました。

 

上記の事項に対応して本学では平成27年度の実務模擬実習よりシミュレーター(フィジコ)を使用した血圧測定、浮腫検査、聴音(心音・呼吸音・腸音)実習や学生同士による瞳孔反射、脈拍測定などのフィジカルアセスメント実習を導入しました。今後は、講義との連携も含めより良い学習ができるよう検討を進めていく予定です。

講演1-2 要旨

「東北医科薬科大学薬学部のフィジカルアセスメント実習の実際」

東北医科薬科大学臨床薬剤学教室講師 薄 井 健 介

 

近年、薬剤師によるフィジカルアセスメントが広がり始めている。さらに、2年生まで進行している新しい薬学教育モデル・コアカリキュラムでは、薬学生がフィジカルアセスメントを実施して評価まで出来るように組まれている。これらの現状に対応するために、本学では平成27年度より4年生の学内実習でフィジカルアセスメントを取り入れている。

 

昨年度の実習では、脈拍、浮腫の確認や眼の視診といった項目を学生間で体験させ、次にシミュレーター(フィジコ)を用いて心音、肺音(呼吸音)、腸音の聴診を実施させた。さらに、シミュレーターの血圧を聴診法にて測定させた。その他の項目として、学生自らのピークフロー値、酸素飽和度、血糖を測定させた。1日20名の学生に対して、これらの内容を4~5人の指導者で対応し、3時間ほどの時間をかけて行った。

 

一方で、本学の薬学研究科薬学専攻の博士課程(4年制)では、1年次に半年間の臨床研修が義務付けられており、東北医科薬科大学病院において薬剤師として研修を実施している。大学院生は、症候学の科目を必須で受講した後に、看護体験を通じてフィジカルアセスメントを患者に対して実施する知識や技術を学んでいる。その後、薬剤師として通常の薬剤管理指導にフィジカルアセスメントを取り入れた研修を試行している。大学院生がフィジカルアセスメントを実施することで、薬剤師として実際に必要なフィジカルアセスメント技術とは何かを考察し、学部教育や卒後教育へ活かしていきたいと考えている。

 

今回は、これらの内容について概要を紹介させていただきたいと思います。

講演1-3 要旨

「薬学部におけるフィジカルアセスメント講習の実際」

東北医科薬科大学病態生理学教室教授 高 橋 知 子

 

今回の生涯教育講演会では「薬剤師が行うフィジカルアセスメント」の話題を昨年に引き続き、取り上げることになりました。2010年4月、厚生労働省がチーム医療の推進について薬剤師の積極的な関与を求める通知を出したことを受けて、日本病院薬剤師会が解釈と具体例を公表し、薬剤師によるフィジカルアセスメントの門戸は開かれました。現在では、様々な団体が主催するフィジカルアセスメントに対する取り組みが全国各地で行われています。

 

今年度、本学では医学部が新たに設置され、高度なチーム医療に貢献できる医療人を育成する環境が今までに増して整いました。この機に、薬学部では生涯教育の一環として「薬剤師のためのフィジカルアセスメント研修会(仮称)」を立ち上げることにいたしました。

 

研修会では、フィジカルアセスメントの知識・技術習得はもとより、「薬剤師の視点」に立った現場で役立つ実践的なプログラムを構築していく予定です。単なる技術習得で終わらせることなく、フィジカルアセスメント技術を身につけた薬剤師は、医療にどのような貢献ができるのか、先生方とご一緒に考えていきたいと思っております。また、知識・技術習得に関しては、本学薬学教育センターで培われた教育法のノウハウを取り込んでいく予定です。

 

本講演では、東北医科薬科大学の特色を生かした研修会の開催を念頭に置きながら、他大学での取り組みをいくつかご紹介いたします。

 

当日、研修会についてのアンケートを実施いたしますので、薬剤師の先生方のご希望、ご意見をお聞かせいただけると大変ありがたく思います。皆様のご参加をお待ちしております。

講演2 要旨

「薬剤師のためのフィジカルアセスメント
-薬剤師が知っておきたい皮膚科領域の症候-」

東北大学大学院医学系研究科皮膚科学分野准教授 山 﨑 研 志

 

皮膚は人体の体表を覆う人体最大の臓器であり、常に外界の環境変化に曝されながらも体内の恒常性維持ために、日夜を問わず、生物がその生を終えるその日まで尽力している。このような皮膚という臓器の置かれた環境からして、皮膚病変は外界からの刺激に伴う病態に起因するものが頻度として高い。

 

しかしながら、医療従事者として加療中の皮膚病変を見るときには常に医原性皮膚病変の可能性を考えておかなければならない。医原性皮膚病変でもっとも頻度が高いのが薬疹であり、複数の薬剤を服用している患者にとって薬疹が出ないことは希有なことと言っても過言では無い。薬剤による中毒疹たる薬疹の発疹形態は多彩であり、皮疹の形態からだけでは原因薬剤の同定は困難なことが多い。

 

薬疹を疑った場合に勘案することは、①発疹の形態と皮疹面積から重症薬疹となり得るかどうかを見極めること、②発熱や肝腎機能障害などの内蔵機病変の合併を確認すること、③発疹形態と薬剤服用歴から関与の可能性が高い薬剤を絞り込むこと、④中止すべき薬剤と代替薬剤の検討、⑤経時的変化の確認である。

 

講演では、具体例を示しつつ、医療従事者として見極めるべき発疹形態や薬疹を考えるときの参考図書等について概説する。

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