薬学教育センター

第34回生涯教育講演会

平成29年度生涯教育プログラムの一環として、「第34回東北医科薬科大学生涯教育講演会」を開催いたしました。
多数のご参加、ありがとうございました。

 

日時: 平成30年2月24日(土) 午後2:00~5:15
会場: 東北医科薬科大学小松島キャンパス 講義棟(仙台市青葉区小松島4-4-1)

 

講演1

「微生物資源に感染症治療薬を求めて」

東北医科薬科大学薬学部 天然物化学教室 教授 内田 龍児

 

講演2

「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために(17)-消化器疾患の薬物治療の現状と処方解析-」

東北医科薬科大学医学部 内科学第二(消化器内科)教室 教授  佐藤 賢一
東北医科薬科大学薬学部 病院薬剤学教室 講師・東北医科薬科大学病院薬剤部 薄井 健介

 

・参加費 無料
・参加資格 特になし
・認定制度

日本薬剤師研修センター認定1)(2単位)
日病薬病院薬学認定薬剤師制度2)(研修番号II-1:1単位、II-6:0.5単位)

宮城県病院薬剤師会生涯研修認定2)(1.5単位)

 

第34回生涯教育講演会ポスター


講演会要旨

講演1 要旨

「微生物資源に感染症治療薬を求めて」

東北医科薬科大学 薬学部 天然物化学教室 教授 内田 龍児

 

微生物資源からの医薬品は、1928年にA. フレミング博士により真菌 Penicillium chrysogenumが生産する最初の抗生物質「ペニシリン」が発見されて以来、1943年にはS. A. ワックスマン博士により放線菌Streptomyces griseusが生産する「ストレプトマイシン」が、さらに1960年代以降は全盛期に入り「プラバスタチン」や「タクロリムス」などの数多くの薬剤が見出され、様々な疾病の治療や病態の改善に大きな役割を果たして来ました。また、放線菌S. avermectiuiusが生産する「エバーメクチン」の功績により、大村 智博士のノーベル医学生理学賞の受賞は記憶に新しいと思います。演者は、天然物創薬に貢献してきた微生物資源からの新しい生物活性物質の探索研究を進めており、本講演会では感染症治療薬のスクリーニングにおける研究成果を中心に紹介します。
 

1. カイコ感染症モデルを基盤とした抗生物質の探索
感染症は、人類が今なお克服しなくてはならない大きな課題であり、近年の薬剤耐性菌の出現や再興感染症の増加などに対応できる、新しい抗生物質の開拓は社会的にも必要とされています。しかし、薬剤開発の課題の一つとして、in vitro試験では強力な活性を示す化合物でも、 in vivo試験では全く治療効果を示さない場面に度々遭遇します。そこで、この課題を解決し、且つ倫理的な問題も同時に解消する目的で、東京大学・関水教授 (現: 帝京大学) らは、カイコを感染症のモデル生物として利用したin vivo様の抗生物質の評価系を構築しました。演者は、この評価系を抗生物質のスクリーニングの初期段階に導入し、治療効果を示す化合物の探索を試みました。
 

2. 新しい作用機序を有する抗真菌薬の探索
現在臨床で使用されている抗真菌薬は、抗菌薬と比べて数・作用点が共に少なく、また副作用や耐性菌の出現などの問題点も抱えていることから、新たな作用機序を有する薬剤の開拓が必要な領域の一つです。アムホテリシンB (AmB) は抗真菌スペクトルが広く、全ての深在性真菌症に対する治療薬として臨床で使用されていますが、腎障害などの重篤な副作用が問題です。そこでAmBの問題点を解消する一つの手段として、単独では抗真菌活性を示さず、AmBと併用した場合でのみで活性を示す化合物、すなわちAmBの抗真菌活性を増強する化合物の探索をしてみました。

講演2 要旨

「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために(17)-消化器疾患の薬物治療の現状と処方解析-」

東北医科薬科大学医学部内科学第二(消化器内科)教室 教授  佐藤 賢一

 

消化器疾患に対する考え方や薬物療法も年々変化している。胃十二指腸潰瘍は防御因子と攻撃因子のバランスが崩れることで発症することが知られている。以前はストレスが防御因子を減弱させる主な原因と考えられてきたが、現在はHelicobacter pylori(HP)感染やNSAIDSの二つが主因となっている。最近特に、NSAIDSによる出血性潰瘍が増加しており、その予防について議論されている。一方、胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease, GERD)の罹患数が1990年代から急速に増えており、消化器外来受診者の約10%といわれている。また、器質的異常がないにも関わらず心窩部痛や心窩部不快感を呈する機能性ディスペプシア(functional dyspepsia, FD)も、消化器外来受診患者の約半数であり、わが国民の1-2割がFDの可能性があるとの報告がみられる。現在、これらの疾患に共通して効果の認められる薬剤のひとつとしてproton pump inhibitor (PPI)がある。PPIは強力な酸分泌抑制作用を有し、胃酸分泌過多や胃酸逆流による症状に効果を示す。FDに対して、PPIとともに投与が推奨されている薬剤として消化管機能改善薬、漢方薬、抗うつ薬・不安薬がある。なかでも、1995年に開発された消化管機能改善薬のアコチアミドは、FD症例に対してPhase III試験で有意な有効性を示し、現時点で唯一のFD治療薬として保険適用となっている。慢性便秘症も全人口の約16%に存在するといわれている。便秘治療薬に関しても上皮機能変容薬であるルビプロストンが2012年、リナクロチドが2017年から販売開始され、多くの症例に効果を示している。このような、消化器で頻度の高い疾患の薬物治療の現状について紹介する。
 

症例1

80歳  女性
前触れなく吐血が出現し、救急車で来院した。出血性胃潰瘍が認められ、内視鏡的に止血を実施して入院となった。
既往歴として、脳梗塞、胃潰瘍、慢性胃炎(ピロリ除菌後)、脂質異常症がある。

 

入院時持参薬

Rp 1) アスピリン腸溶錠 100mg 1回1錠 1日1回 朝食後
Rp 2) ピタバスタチンCa錠 2mg 1回1錠 1日1回 朝食後

 
入院当日は絶食および輸液療法を実施し、下記注射薬を投与した。

Rp 3) オメプラゾールナトリウム注射用 20mg 1日2回

 
翌日、内視鏡で止血を再度確認後、食事摂取開始とともに下記処方を開始した。

Rp 4) ボノプラザンフマル酸塩錠 20mg 1回1錠 1日1回 朝食後

 

症例2

40歳  男性
心窩部から放散する胸部圧迫痛があり、循環器内科受診。循環器内科の精査で異常が認められず、当院消化器内科に紹介となる。紹介後、腹部超音波検査と上部内視鏡検査を施行した。腹部超音波検査では異常を認めず、上部内視鏡検査では食道裂孔ヘルニアを認めるも、逆流性食道炎は認めなかった。
 
当院消化器内科処方

Rp 1) ボノプラザンフマル酸塩錠 20mg 1回1錠 1日1回 朝食後

 

症例3

50歳  女性
1年前より、心窩部不快感、嘔気、腹満感を時々自覚していた。近医で上部内視鏡検査を施行し、胃がただれていると言われファモチジンやランソプラゾールが処方された。しかし症状が改善しなかったため、当院消化器内科を受診した。腹部超音波検査と上部内視鏡検査の結果、胆嚢ポリープと慢性胃炎と診断された。
 
当院消化器内科処方

Rp 1) ボノプラザンフマル酸塩錠 20mg 1回1錠 1日1回 朝食後

 
処方変更

Rp 1) アコチアミド塩酸塩水和物錠 100mg 1回1錠 1日3回 毎食前
Rp 2) レバミピド錠 100mg 1回1錠 1日3回 毎食後

 
上記に処方追加

Rp 1) アコチアミド塩酸塩水和物錠 100mg 1回1錠 1日3回 毎食前
Rp 2) レバミピド錠 100mg 1回1錠 1日3回 毎食後
Rp 3) ボノプラザンフマル酸塩錠 20mg 1回1錠 1日1回 朝食後

 

症例4

80歳  男性
半年前より嚥下がしづらくなっていた。食欲はあるが、食べるとのどに引っかかる感じがして逆流し、嘔吐するようになった。食べ物を飲み込めず、ほとんど嘔吐するようになり、他院を受診した。他院では上部内視鏡検査を施行し、食道裂孔ヘルニアと胃潰瘍瘢痕が指摘されたが、原因不明とのことで当院神経内科を紹介された。神経内科ではMRIなどを施行したが問題はなく、当院耳鼻咽喉科に紹介される。耳鼻咽喉科では咽頭ファイバーや食道透視が施行されるが異常はなかった。嚥下機能も着色水やゼリーの飲み込みに問題はなかった。当院消化器内科に紹介され、上部内視鏡検査を施行し、他院と同様に食道裂孔ヘルニアと胃潰瘍瘢痕のみが認められた。
 
当院消化器内科処方

Rp 1) アコチアミド塩酸塩水和物錠 100mg 1回1錠 1日3回 毎食前

 

症例5

80歳  男性
10年以上前より呼吸器内科で肺気腫に対する在宅酸素療法を行っていた。便秘があり、同科でセンノシドが処方されていた。最近センノシドの効果が減弱したため当院消化器内科を受診した。
高齢でもあり、大腸検査の負担を考えて、検査前にセンノシドに加えて下記を追加で処方して様子をみた。

 

Rp 1) 酸化マグネシウム錠 330mg 1回1錠 1日3回 毎食後

 
改善がみられないため、大腸内視鏡検査を施行した。大腸内はポリープのみで便秘の原因となる器質的病変は見られなかったことから、下記の処方を開始した。

Rp 2) リナクロチド錠 0.25mg 1回1錠 1日1回 朝食前

 

症例6

70歳  女性
便秘にてセンノシドなどの緩下剤と酸化マグネシウムが処方されていたが、排便困難で救急外来を受診することが何度かあった。今回、腹部不快感が持続するため当院消化器内科を受診した。下部内視鏡検査は当科にて2年前に実施しており、異常は指摘されていない。腹部超音波検査と上部内視鏡検査を実施したが、異常は無かった。

 
当院消化器内科処方

Rp 1) リナクロチド錠 0.25mg 1回2錠 1日1回 朝食前

 

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