薬学教育センター

薬学教育センター

第35回生涯教育講演会

平成30年度生涯教育プログラムの一環として、「第35回東北医科薬科大学生涯教育講演会」を開催いたします。
皆様方のご参加をお待ちしております。

 

日時: 平成30年10月27日(土) 午後2:00~5:15
会場: 東北医科薬科大学小松島キャンパス講義棟(仙台市青葉区小松島4-4-1)

 

講演1

「難治性疼痛治療薬開発へのアプローチ -夢の鎮痛薬を求めて-」

東北医科薬科大学薬学部 機能形態学教室 教授 溝口 広一

講演2

「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために(18)-慢性疼痛患者に対する治療の現状と処方解析-」

東北医科薬科大学医学部 麻酔科学教室 教授 河野 達郎
東北医科薬科大学薬学部 病院薬剤学教室 講師・東北医科薬科大学病院薬剤部 薄井 健介

 

・参加費 無料
・参加資格 特になし
・認定制度

日本薬剤師研修センター認定1)(2単位)
日病薬病院薬学認定薬剤師制度2)(研修番号II-1:1単位、*II-6:0.5単位)
*研修番号が変更になりました。
宮城県病院薬剤師会生涯研修認定2)(1.5単位)
※ 申請予定の方には、1)と2)いずれかのシールをお渡しします。(両方同時にお渡しすることはできません)

 

問合先 〒981-8558 仙台市青葉区小松島4-4-1
東北医科薬科大学薬学部 薬学教育センター教育支援部
Tel (022)727-0147 Fax (022)275-2016
E-mail kyoiku(@)tohoku-mpu.ac.jp
アドレスをコピーされた方は( )を削除して送信してください。

 

参加ご希望の方は、申し込みフォームにてご連絡いただければ幸いです。
当日、直接参加されてももちろん結構です。

 

第35回生涯教育講演会ポスター


講演会要旨

講演1 要旨

「難治性疼痛治療薬開発へのアプローチ -夢の鎮痛薬を求めて-」

東北医科薬科大学 薬学部 機能形態学教室 教授 溝口 広一

 

ガン性疼痛や術後疼痛などの激しい痛みに対しては、morphineをはじめとする麻薬性鎮痛薬が用いられる。麻薬性鎮痛薬は、強力な鎮痛作用を発現する一方、その陶酔作用に誘導される依存性による乱用が問題となっている。1970年代のオピオイド受容体や内因性オピオイドペプチドの発見以降、依存性のない「夢の鎮痛薬」の開発が長年試みられているが、未だ「夢の鎮痛薬」は開発されていない。また、morphineに代表される麻薬性鎮痛薬は、侵害受容性疼痛に対しては非常に有効である一方、病態や外傷に基づいた神経変性に誘導された痛みである神経障害性疼痛に対しては、その有効性は極めて低下することが知られている。神経障害性疼痛には、神経損傷性神経障害性疼痛(幻肢痛など)、糖尿病性神経障害、帯状疱疹後神経痛、炎症性慢性疼痛、多発性硬化症疼痛、ガン性疼痛など、原因となる病態により疼痛症状が異なる様々な難治性疼痛が存在する。これら神経障害性疼痛の発症機構、ならびに麻薬性鎮痛薬抵抗性の難治性疼痛化の機構は未だ解明されておらず、それ故その特異的治療薬(鎮痛薬)は未だ開発されていない。
一方、麻薬性鎮痛薬の作用点であるμオピオイド受容体は、そのDNAに多数のエクソンが含まれるため、mRNA前駆体のスプライス過程における多様性(スプライスバリアント)が、多数存在する。臨床で使用されている麻薬性鎮痛薬は、全て選択的μオピオイド受容体作動薬であるが、その薬理作用には様々な違いが存在する。作用するμオピオイド受容体スプライスバリアントの違いにより、各種麻薬性鎮痛薬の薬理作用に違いが生じると考えられている。
本講演では、このμ受容体スプライスバリアントに基づいた、依存性が無く(非麻薬)かつ難治性疼痛に有効な「夢の鎮痛薬」の開発戦略について紹介する。

講演2 要旨

「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために(18)-慢性疼痛患者に対する治療の現状と処方解析-」

東北医科薬科大学 医学部 麻酔科学教室 教授 河野 達郎

 

痛みは誰もが経験する不快な感覚である。しかし、実は痛みを感じることは私たちの体を守る生体の防御システムとして重要なものである。痛みの薬物治療を行うにあたっては、その痛みがどのような種類の痛みであるのかを考えて治療を行うことが重要である。
痛みを機序によって分類すると侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心理・社会的疼痛に分けられる。侵害受容性疼痛は炎症や組織損傷によって生じた発痛物質が末梢の侵害受容器を刺激することによって生じる痛みで、スパッと切れるような限局的な痛みが多い。一方、神経障害性疼痛は体性感覚神経に対する損傷や疾患によって引き起こされる痛みであり、持続的な、灼けつくような、電気ショックのような痛みが特徴的である。さらに、痛覚過敏、アロディニアなどの異常な痛み感覚を伴うこともある。ただ、実際にはこれらを明確に分けられるわけではなく、両者が複雑に絡み合った混合性疼痛も存在する。
痛みの薬物治療にあたっては、痛みの機序に含まれるこれらの構成要素のバランスを考えることが薬剤選択の大きな助けになる。侵害受容性痛に対してはNSAIDsとアセトアミノフェンが有効である。NSAIDsは抗炎症作用があるため鎮痛効果が強いことが利点だが、胃腸障害や腎障害への注意が必要である。その一方、アセトアミノフェンには抗炎症作用はないが、NSAIDsの副作用を回避でき、安全性が高い。神経障害性疼痛には鎮痛補助薬を用いる。鎮痛補助薬としては、三環系抗うつ薬、デュロキセチンなどの抗うつ薬やプレガバリンなどの抗てんかん薬が代表的である。これらの薬剤が “神経障害性疼痛薬物治療ガイドライン”で第一選択薬として推奨されている。
本講演では侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛について、またそれらに用いられる薬剤について述べたいと思う。

 

講演2 症例1

62歳 女性

主 訴: 腰痛
現病歴: 3日前に重い物を持ち上げようとして“ぎっくり腰”になった。近医でNSAIDsを処方されたが、効果が乏しいため当院を受診した。
既往歴: 不明
臨床データ: 脊柱所見:前後屈ともに腰痛のため制限あり
神経学的所見:異常なし
単純X線写真:脊椎症性変化
MRI:L4/5、L5/S椎間板の変性と膨隆
痛み:VAS=84 mm

 

<Question 1 – 1>

この腰痛に対する処方として試みてよいものはどれか ? (複数を選択)

a アセトアミノフェン 1,500 mg/日を投与する

b アセトアミノフェン 3,000 mg/日を投与する

c ロキソプロフェン 180 mg/日を投与する

d セレコキシブ 200 mg/日を投与する

1. a,c    2. a,b,c   3. b,c,d   4. a,b,c,d

 

<Question 1 – 2>

本症例にロキソプロフェン180 mg/日を投与したが、痛みの程度はVASで75mm程度までしか改善しないため、処方を変更することとした。不適切な対処はどれか ?

1. ロキソプロフェンにアセトアミノフェン 1,500 mg/日を追加する

2. ロキソプロフェンにアセトアミノフェン 3,000 mg/日を追加する

3. ロキソプロフェンにセレコキシブ 200 mg/日を追加する

4. ロキソプロフェンを中止し、トラマドール塩酸塩(50 mg) 2錠/日に変更する

 

<Question 1 – 3>

この患者に対し、ロキソプロフェン180 mg/日と、アセトアミノフェン1,500 mg/日を投与し、VASは84 mmから60 mmに低下したが、2年前から近医で十二指腸潰瘍の診断で処方を受けていることがわかった。十二指腸潰瘍の既往を考慮したとき安全性の面から避けるべき処方薬はどれか ?(複数を選択)

a アセトアミノフェン

b ロキソプロフェン

c セレコキシブ

d トラマドール塩酸塩

1. a,c    2. b,c   3. b,c,d   4. a,b,c,d

 

講演2 症例2

78歳 男性

主 訴: 腰痛、左下肢痛
現病歴: 5ヵ月前から腰痛と左下肢痛が出現し、近医でL5/S1腰椎椎間板ヘルニアと診断された。神経根ブロックを行ったが、効果は一時的であった。腰椎椎間板ヘルニアに対する手術が計画されたが、手術は1ヵ月以上先でないと予定できなかったため、疼痛管理を行うことになった。
既往歴: 20年前に右下腿骨骨折
臨床データ: 脊柱所見:前屈制限あり
SLR test :左50度 陽性
左アキレス腱反射減弱
左足外側部に知覚低下とアロディニアあり
痛み:VAS=79 mm

<Question 2 – 1>

1ヵ月以上先の手術まで内服薬を処方することになった。アセトアミノフェンとNSAIDsを投与したが無効であったため、弱オピオイドの処方を開始することを考えている。不適切なアセスメントはどれか ?

1. リン酸コデイン20 mgを1日3回投与する。

2. フェンタニル貼付剤2.1 mgを貼付する。

3. トラマドール/アセトアミノフェン配合錠の開始時に制吐剤を併用して投与する。

4. トラマドール塩酸塩の開始時に緩下剤を併用して投与する。

 

<Question 2 – 2>

トラマドール塩酸塩( 25 mg) 4錠/日を2週間使用したところ、持続的な痛みが改善し、VASは58 mmとなったが、発作的な痛みやアロディニアはまだ改善していない。適切な対処はどれか ?(複数を選択)

1. トラマドール塩酸塩を4 錠/日から6 錠/日に増量する。

2. トラマドール塩酸塩をモルヒネ塩酸塩に変更する。

3. トラマドール塩酸塩にプレガバリンを併用する。

4. トラマドール塩酸塩を三環系抗うつ薬を併用する。

 

<Question 2 – 3>

トラマドール塩酸塩6錠/日へ増量して、痛みの程度はVASで20 mmとなった。増量の際に、眩暈を伴う嘔気を訴えた。最も適切な対処法はどれか ?

1. プロクロルペラジン (ノバミン®)を投与する。

2. ドンペリドン (ナウゼリン®)を投与する。

3. ジフェンヒドラミン・ジプロフィリン (トラベルミン®)を投与する。

4. ピコスルファートナトリウム (ラキソベロン®)を投与する。

 

<Question 2 – 4>

トラマドール塩酸塩6錠/日の使用で、痛みは軽減し、かなり仕事に支障がなくなってきたため、手術は中止とした。あと少し痛みが軽減すれば趣味のゴルフを再開しようと考えているようだが、まだ痛みが強い時がしばしばあり、痛む時の対処について患者から相談された。適切な対処はどれか ?

1. 特に薬剤投与は設定せず、対処法のみ指導する。

2. アセトアミノフェンを頓用で投与する。

3. ロキソプロフェンを頓用で処方する。

4. トラマドール塩酸塩を頓用で処方する。

ページトップへ