薬学教育センター

第6回 東北薬科大学生涯教育講演会

日時: 平成17年6月4日(土) 14:00~17:00
会場: 東北薬科大学講義棟 701講義室

講演1

「最近社会的に話題になった感染症について」

東北薬科大学微生物学 教授 松本 達二

講演2

「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために (2)」
-消化器系疾患を中心とした処方解析-

長野内科胃腸科 院長 長野 正裕 先生

講演会要旨

講演1 要旨

「最近社会的に話題になった感染症について」

東北薬科大学微生物学教室教授 松本 達二

 

 近年、世界的に感染症に関する認識が大きく変わってきました。1970年代には、抗生物質や化学療法剤が開発されたことにより、病原微生物による感染症は過去のものと言われました。しかし1990年代になって、多くの感染症が新たに発見されたり過去の感染症の復活から『新興、再興感染症』という概念が広がってきました。
 
 新興感染症とは『かつて知られていなく約20年間において新らたに発見され、新しく認識された感染症で、局地的に、或いは国際的に、公衆衛生上問題となる感染症』と定義され、近年では、重症急性呼吸器症候群(SARS)や高病原性トリインフルエンザなどがその例です。
 
 一方、再興感染症は『既知の感染症で、すでに公衆衛生上問題とならない程度にまで患者数が減少していた感染症のうち、最近20年間に再び流行し始め、患者数が増加した感染症』と定義されており、結核がその代表的な感染症です。
 
 新興感染症の出現には様々な要因が関わっていますが、その多くには人為的な要因の存在が指摘されています。自然破壊から未知の病原体を我々の社会に引き込んだと思われる例などもあります。再興感染症では抗生物質や化学療法剤の濫用から出現した薬剤耐性菌の例もあります。
 
 今回は『新興感染症』の中でも、この数年間に発生し、社会的に問題となっている感染症を中心に解説します。

講演2 要旨

「「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために (2)」
    -消化器系疾患を中心とした処方解析-」


【医師の立場から】
 長野内科胃腸科院長  長野 正裕

 
 現代医療はチーム医療であり、医師、看護師、薬剤師、他パラメディカルスタッフの共同作業の上に成り立っている。本院は無床診療所であり、本院で発行している処方箋が、調剤薬局でどの程度理解され、どのような服薬指導がなされているか、処方医として不安になる時がある。
 
 本院は昭和35年に開院して長年院内処方であったが、約2年前に院外処方に移行した。調剤薬剤師に処方禁忌例や配合禁忌例の確認、他院処方薬のチェック等をして頂き、様々なメリットがあったが、やはり調剤薬剤師に病名を伝えることのできないもどかしさを常々感じている。
 
 今回は、消化器系疾患を中心した処方解析と消化器系薬剤の変遷、さらに胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃炎・逆流性食道炎の実際の内視鏡(胃ファイバー)像を多数供覧して、潰瘍の除菌治療を含めて、日頃の服薬指導のお役に立てればと思っております。


【薬剤師の立場から】 東北薬科大学情報科学教室助教授 中村  仁
 
 「薬剤師の活動の中心に患者の利益を据える行動哲学」をファーマシューティカルケアと呼ぶ。これはすなわち、患者の生活の質(QOL)の改善を達成するために、薬剤師が患者の薬物療法に責任を持ってかかわり、最良の結果を引き出すために努力することである。
 
 ファーマシューティカルケアを実践するためには、薬剤師としての専門知識を身につけているだけでなく、その知識を使って薬物療法上の問題を発見し解決できなければならない。そのためには、患者や他の医療従事者と効果的なコミュニケーションがとれ、何が重要な問題かを把握できる能力が必要となる。
 
 ファーマシューティカルケアの第一歩は、医師の処方意図を正しく理解することにある。その上で、処方に疑問点があれば疑義照会を行い、問題を解決した上で適切な服薬指導を行う。そして、服薬後に患者に起こる様々な薬物療法上の問題に対処していくことになる。
 
 今回の講演では、消化器疾患の処方例について処方解析を行い服薬指導のポイントについて述べてみたい。そして、医師・薬剤師それぞれの立場から出される意見を基に、薬剤師のファーマシューティカルケアについて会場の皆さんと一緒に考えてみたいと思う。

▲ ページTOPへ