東北医科薬科大学皮膚科

教室概要

東北医科薬科大学医学部皮膚科学教室 主任教授 川上 民裕

「東北医科薬科大学皮膚科学教室 教授就任のご挨拶」

東北医科薬科大学医学部皮膚科学教室 主任教授 川上 民裕

2018年10月より、仙台にある東北医科薬科大学医学部に皮膚科学教室の主任教授として赴任しました。宜しくお願い申し上げます。

知り合いの某大学皮膚科主任教授の御推薦から、仙台赴任の話が始まりました。その後、東京市ヶ谷の私学会館で、東北医科薬科大学の理事長先生と会談する機会がもたれました。その席上、是非、仙台へ来てほしい、と懇願され、心を動かされました。請われて行くこと、新設医科大学ではありますが医学部の本院であること、などから、身に余る光栄な有り難いお話しである、と思い、受けました。

赴任した当日に、東北医科薬科大学医学部病院長の先生から、直接、皮膚科診療における要望を聞かされました。紹介の有無を関係なく初診を受け入れること、入院をとること、そして毎日外来を開くこと、でした。そこで、皮膚科学教室を刷新するべく、病院長先生の希望を受け入れ、早速、実行に移しました。久しぶりの臨床にどっぷり浸かった生活となりました。赴任時は、ほぼ“一人医長”の状態でした(講師の女性医師は時短)が、自分の臨床能力がどの程度なのか試したい気持ちもありましたので、結構、前向きでした。幸い、赴任した当初から、外来・入院患者数と稼働額が右肩上がりに上昇してきました。これは、その後の皮膚科外来の新設移転と診療室の増設にも繋がりました。

幸い現在は、皮膚科スタッフも増え、常勤医4名、非常勤医6名、研究補助員1名です。月曜日から金曜日まで毎日、午前・午後の外来業務を行っております。病院全体の方針に従い、初診の患者さんは午前のみの対応ですので御注意ください。御希望があれば、再診からは午後の外来通院の診察が可能となります。午後には専門外来もあります。火曜日に膠原病外来、金曜日に免疫アレルギー外来を設置し、より専門性の高い患者さんの診療を、その分野のエキスパートである担当医師が行っております。皮膚科の入院ベットは5床あり、入院加療が相当となった際は、積極的な入院対応を行っております。手術室を必要とする外科治療は、月曜日の午後に行います。皮膚癌で特に生命を脅かす悪性黒色腫(メラノーマ)を始めとして、基底細胞癌、有棘細胞癌、Bowen癌、Paget癌などを中心に手術による治療をしております。皮膚生検は、診断を確定するために、病変皮膚の一部を採取し、顕微鏡下でその細胞や組織の構築を診断します。皮膚疾患の診断では重要な手技です。さらに、皮膚生検では、蛍光抗体直接法(病変皮膚を採取し、対象の抗体に蛍光色素を標識して反応させ、蛍光顕微鏡で観察する)を取り入れております。対象疾患は、天疱瘡、類天疱瘡、血管炎、膠原病などです。蛍光ティーチング顕微鏡を2台完備しております。乾癬、膠原病、血管炎では、皮膚エコーを使用した関節炎の評価を施行しています。皮膚エコーは皮膚癌や皮膚良性腫瘍の手術前の評価や診断にも役立っております。また炭酸水で、強皮症や血行障害の緩和する治療も試みています。narrow band UVB療法は、311±2 nmの限られたUVBすなわち紫外線を照射します。本治療は乾癬、白斑、皮膚リンパ腫で行っています。

皮膚科診療では、受診した患者さんの改善にいかに貢献できるか、と常に念頭におき、全ての皮膚病に幅広く対応したいと考えております。なかでも患者さんが多いアトピー性皮膚炎、蕁麻疹、乾癬、血管炎では、通常の大学病院以上に定期的な診察を行い、最先端医療である生物学的製剤も積極的に投与しております。乾癬における生物学的製剤の介入は、当科のような日本皮膚科学会認定 乾癬生物学的製剤使用承認施設でしか対応できません。まず患者支援センターで治療での費用を確認して頂き、肺CTや血液検査で身体的な適正を判断した後、治療を開始します。TNF阻害薬、抗IL12/23p40抗体製剤、抗IL17抗体製剤、抗IL23p19抗体製剤などがあります。それぞれの特徴に合わせて投与します。アトピー性皮膚炎は抗IL4/13抗体製剤、蕁麻疹は抗IgE抗体、血管炎は抗CD20 抗体、抗IL5抗体製剤があり、対象患者さんには積極的に投与しています。アトピー性皮膚炎でのIL4/13製剤投与は仙台で最も施行している施設です。生物学的製剤は治療費がかかる注射ですが、相談支援センターとの連携対応で皆様の身の丈に合った治療を提案して参ります。乾癬では、アプレミラストという内服薬もあります。ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害で細胞内cAMP上昇し、炎症を調節することで作用します。治療費は少し生物学的製剤より低いです。アプレミラストは、ベーチェット病にも投薬し、発症再発や予防効果が期待できます。

2019年10月からは、アレルギーセンターが開設され、アレルギーセンターの一診療科として、センターで皮膚科関連の診察と判断されれば、当科での診療となります。しかし、例えば、なかなか治らないアトピー性皮膚炎、蕁麻疹、食物アレルギーなど皮膚科領域のアレルギー疾患と判断された場合は、直接、皮膚科へ紹介して頂いても問題はありません。日本アレルギー学会より、アレルギー専門医教育研修施設に認定されています。検査では、Ⅰ型アレルギー(即時型アレルギー)であれば、プリックテスト、スクラッチテスト、皮内試験、Ⅳ型アレルギー(遅延型アレルギー)であれば、パッチテスト(貼布試験)、場合によっては内服試験も施行しています。。こうした検査は、蕁麻疹、接触皮膚炎、食物アレルギー、薬疹で施行します。プリックテスト・スクラッチテストは、針で皮膚に傷をつけてから抗原液を滴下し、15分後の反応(膨疹、紅斑)をみます。皮内テストも同様で、抗原液を皮内注射、15分後の反応(膨疹、紅斑)をみます。一方、パッチテストは、抗原を皮膚(背や腕が多い)に直接、貼布し、48時間後に剥がして反応を見、さらに72時間・1週間後の反応も見ます。従って少なくとも数日の日数が必要となります。東北医科薬科大学医学部皮膚科学教室は、重症薬疹診療拠点病院の認定を受けております。

専門である血管炎は難治な疾患ですので、皮膚症状からの早期発見・早期治療が重要です。日本皮膚科学会 血管炎・血管障害ガイドライン委員長として多くの症例を診療・経験して参りました。幸い、東北大学からの紹介はもとより全国から患者さんがはるばる仙台に来て頂いております。また、厚生労働省血管炎研究国際班の一員として、皮膚血管炎国際臨床研究(ARAMIS研究)の実施を計画し、新法である臨床研究法への対応が完了し、2020年6月、晴れて日本症例第一例の登録となりました。ここには、東北医科薬科大学病院の臨床研究推進センターの先生より強力なサポートがありました。当施設は、医学部のある大学病院本院ですので、医療の発展に貢献する使命があります。

他にも蜂窩織炎(蜂巣炎)、丹毒、とびひ(膿痂疹)、にきび(痤瘡)、水虫(白癬)、帯状疱疹、単純疱疹、ベーチェット病、スウイート病、穿孔性皮膚症、脱毛症、血管腫(Sturge-Weber症候群)など、受診された方々の改善にいかに貢献できるかと常に念頭におき、皮膚科の診療を行って参ります。

大学病院皮膚科学教室として、研究にも積極的に取り組んでおります。皮膚の色を産生するメラノサイトは、単独での培養が困難で大量培養もできませんでした。私はヒトiPS細胞からより大量で効率よく完成度の高いメラノサイトへの分化誘導に成功しました(特許取得特願2015-003523・特願2018-004816)。仙台に異動しても、継続できており、ヒトiPS細胞からのメラノサイトの誘導がたった2週間で完成できるまでにすすんできました。このヒトiPS細胞由来メラノサイトを使用して、白斑治療・白皮症遺伝子治療・悪性黒色腫治療・美白化粧品評価へと研究がすすんでおります。 皮膚血管炎(IgA血管炎や皮膚動脈炎)では、自己抗体(抗リン脂質抗体、抗LAMP2抗体、抗モエシン抗体など)の関連の解明を目指しています。動物モデルを使用した皮膚血管炎の発症機序の解明では、北海道大学解剖学教室と共同研究をしております。更に、多施設共同臨床研究であるSturge-Weber症候群のGNAQ蛋白遺伝子の体細胞異常の研究や、厚生労働省の穿孔性皮膚症班の班長として、穿孔性皮膚症の診断基準・重症度分類と診療ガイドラインを作成し、病因を研究しております。

仙台市は、市街の中央部を新幹線が南北に走っており、発展の著しい西部と発展途上の東部に分かれます。既存の東北大学が仙台市西部に位置するのに対して、東北医科薬科大学は新設医科大学として仙台市東部の拠点としての意味合いがあります。皮膚科診療のみならず他診療科との連携を密にし、仙台市東部の近隣の開業の先生方との連携を密にし、臨床に直接役立つ研究、幅広い疾患に対応できる皮膚科医の育成・教育に誠心誠意努力していきたいと思っております。暖かい御支援を賜りますよう、どうか宜しくお願い申し上げます。

東北医科薬科大学医学部皮膚科同門会会則 (2022年10月)

第1章 総 則

(名称)
第1条
本会を東北医科薬科大学医学部皮膚科同門会と称す。

(事務所)
第2条
本会の主たる事務所を東北医科薬科大学医学部皮膚科学教室に置く。

(目的)
第3条
本会の目的は
1 会員間の親睦を深め相互扶助を計ること。
2 皮膚科医の育成および技術の向上に貢献すること。
3 東北医科薬科大学医学部皮膚科学教室並びに同門会の発展を計ること。

第2章 会 員

(種別)
第4条
本会の会員は、次の通りとする。
1 東北医科薬科大学医学部皮膚科学教室に過去に在籍した者、あるいは現在在籍している者。
2 本会の目的に賛同し、会長が推薦した者。

(入会)
第5条
会員は、次に掲げる手続きをするものとする。
1 会員として入会しようとする者は、会長に申し込むものとする。
2 会長は、前項の申し込みがあったとき、その者が第4条に適合すると認めるときは、正当な理由がない限り、入会を認める。

(会費)
第6条
会員は、別に定める会費を納入しなければならない。

(会員の資格の喪失)
第7条
会員が次の各号のひとつに該当するときは、その資格を喪失する。
1 退会届を提出したとき。
2 本人が死亡したとき。
3 除名されたとき。

(退会)
第8条
会員は、会長が別に定める退会届を会長に提出して、任意に退会することができる。

(除名)
第9条
会員が次の各号のひとつに該当する場合には、総会の決議により、これを除名することができる。
1 この規約のほか、本会の規則に違反したとき。
2 本会の名誉を傷つけ、または目的に反する行為をしたとき。

(拠出金品の不返還)
第10条
既に納入した会費およびその他の拠出金品は、返還しない。

第3章 役 員

(種別および定数)
第11条 本会に、次の役員を置く。
会長 1名、副会長 1名、幹事長 2名、監事 2名

会長 川上民裕 (東北医科薬科大学医学部皮膚科)
副会長 大井知教 (大井皮膚科泌尿器科医院)
幹事長 小松俊郎 (こまつ皮膚科クリニック北仙台)
幹事長 林昌浩 (新中道皮ふ科クリニック)
監事 只木行啓 (みなみ仙台皮膚科クリニック)
監事 岩間英明 (なとり皮膚科くまのどう内科下肢静脈瘤クリニック)

(任期 2022年10月1日から2025年12月31日)

(選任等)
第12条
1 会長は、東北医科薬科大学医学部皮膚科学講座 主任教授がこれを務める。
2 副会長、幹事長、監事は、会長が推薦し、総会で承認する。

(職務)
第13条
1 会長は、本会を代表しその業務を総理する。
2 副会長、幹事長は役員会を構成し、この規約の定めおよび役員会の議決に基づいて本会の業務を執行する。
3 監事は、次に掲げる職務を行う。
(1)本会の財産の状況を監査すること。
(2)総会において会計報告を行う。

(任期等)
第14条
1 役員の任期は3年とする。ただし、再任を妨げない。
2 補欠のため、または増員により就任した役員の任期は、それぞれの前任者または現任者の任期の残存期間とする。
3役員は辞任または任期満了後においても、後任者が就任するまでは、その職務を行わなければならない。

(欠員補充)
第15条
副会長、幹事長、監事のうち、その定数の3分の1を超える者が欠けたときは、遅滞なくこれを補充しなければならない。

第4章 会 議

(種別)
第16条
1 本会の会議は、総会および役員会の2種とする。
2 総会は、通常総会および臨時総会とする。

(総会の構成)
第17条
総会は会員をもって構成する。

(総会の機能)
第18条
総会は、以下の事項について議決する。
1 規約の変更
2 解散
3 事業計画および収支予算ならびにその変更
4 事業報告および収支計算
5 幹事長、監事の選任・解任の承認
6 会費の額
7 その他運営に関する重要事項

  

(総会の開催)
第19条
1 通常総会は、毎年1回原則として12月に開催する。
2 臨時総会は、役員会が必要と認め、招集の請求をした時、開催する。

  

(総会の招集)
第20条
1 総会は、会長が招集する。
2 会長は、第19条第2項第1号の規定による請求があったときは、その日から30日以内に臨時総会を招集しなければならない。

(総会の議長)
第21条
総会の議長は、会長が行う。

(総会の定足数)
第22条
1 総会は、会員総数の3分の1以上の出席がなければ開会することはできない。
2 感染症の流行やその他のやむを得ない理由により会員総数の3分の1以上の出席がなかった場合、または同様の理由で対面での総会開催が困難と判断される場合、電子メール等で学会会員に議題を送付し、承認を得ることで、総会開会・成立とすることができる。

(総会の議決)
第23条
総会の議決は、出席した会員の過半数をもって決し、可否同数のときは議長の決するところによる。

(総会での表決権等)
第24条
1 各会員の表決権は平等なものとする。
2やむを得ない理由により総会に出席できない会員は、あらかじめ通知された事項について、書面をもって表決し、または他の会員を代理人として表決を委任することができる。

(総会の議事録)
第25条
総会の議事については、次の事項を記載した議事録を作成しなければならない。
1 日時および場所
2 会員数および出席者数
3 審議事項
4 議事の経過の概要および議決の結果

(役員会の構成)
第26条
役員会は、会長、副会長、幹事長、監事をもって構成する。

(役員会の権能)
第27条
役員会はこの規約に定める事項のほか、次の事項を議決する。
1 総会に付議すべき事項
2 総会の議決した事項の執行に関する事項
3 その他総会の議決を要しない業務の執行に関する事項

(役員会の開催と招集)
第28条
役員会は、会長が必要と認めた場合に開催する。

(役員会の議長)
第29条
役員会の議長は、会長がこれにあたる。

(役員会の議決)
第30条
役員会の議決は、役員総数の過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

(役員会の表決権等)
第31条
やむを得ない理由のため役員会に出席できない役員は、あらかじめ通知された事項について書面をもって表決することができる。

(役員会の議事録)
第32条
役員会の議事については、次の事項を記載した議事録を作成しなければならない。
1 日時および場所
2 会員数および出席者数
3 審議事項
4 議事の経過の概要および議決の結果

第5章 資 産

(構成)
第33条
本会の資産は、次の各号に掲げるものをもって構成する。
1 設立当初の財産目録に記載された資産
2 会費
3 寄付金品
4 財産から生じる収入

(管理)
第34条
本会の資産は、会長が管理し、その方法は総会の議決を経て会長が別に定める。

第6章 会 計

(事業年度)
第35条
本会の事業年度は、毎年1月1日に始まり12月31日に終わる。

(事業計画および予算)
第36条
本会の事業計画およびこれに伴う収支予算は、毎事業年度ごとに会長が作成し総会の議決を経なければならない。

(暫定予算)
第37条
1やむを得ない理由により予算が成立しないときは、会長は、役員会の議決を経て、予算成立の日まで前事業年度の予算に準じて収入支出することができる。
2 前項の収入支出は、新たに成立した予算の収入支出とみなす。

(予備費)
第38条
1 予算超過または予算外の支出に充てるため、予算中に予備費を設けることができる。
2 予備費を使用するときは、役員会の議決を経なければならない。

(事業報告および決算)
第39条
1 本会の事業報告書、財産目録、貸借対照表および収支計算書など決算に関する書類は、毎事業年度終了後2月以内に会長が作成し、監事の監査を受け、総会の議決を経なければならない。
2 決算上剰余金を生じたときは、次事業年度に繰り越すものとする。

第7章 規約の変更、解散

(規約の変更)
第40条
本会が規約を変更しようとするときは、総会に出席した会員の3分2の以上の多数による議決を要する。

(細 則)
第41条
この規約の施行について必要な細則は、役員会の議決を経て会長がこれを定める。

付 則
1 本会の設立当初の会費は、次に掲げる額とする。
年会費 一口 10,000円 一口以上

2 振込先:
三井住友銀行 仙台支店(店番号:)
口座番号:普通 〇〇〇〇 
名義人:東北医科薬科大学皮膚科同門会会長 川上民裕