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【プレスリリース】視神経脊髄炎における発作の発生パターン(群発性)を発見 – 新しい効率的な治療方針の可能性 –

【発表のポイント】

●国の指定難病である視神経脊髄炎注1の患者の発作記録を解析した結果、発作が集中して起こる期間(群発期)と発作が長期間起きない期間(間欠期)があることを発見した。

●間欠期が長くなるほど再発のリスクも徐々に低下する傾向が示された。

●群発期では発作の種類が同じとなる傾向があり、一方で一度でも間欠期を挟むと、その後の再発における発作の種類は以前の発作の種類とは無関係となった。

 

【概要】

 東北医科薬科大学医学部老年神経内科学教室の中島 一郎(なかしま いちろう)教授は、東北大学大学院医学系研究科、東北大学病院、東北大学東北メディカル・メガバンク機構の研究グループと共同で、視神経脊髄炎患者における再発の発生パターンを解析し、視神経脊髄炎では発作が短期間に集中して起きる群発期と、それ以外の発作間欠期に分かれることを発見しました。さらに、発作の約半数が前回の発作から12ヵ月以内に起きていることも分かりました。群発期間中は発作の種類が同じとなる傾向がみられた一方、一度でも間欠期を挟むと以後の発作の種類は前回の発作とは無関係にランダムとなることも分かりました。

 視神経脊髄炎における神経障害は再発によって進行するため、長期間にわたって再発を予防する治療が重要です。今回の研究結果から、今後の視神経脊髄炎における治療方針や臨床研究の方法で、それぞれの患者が群発期にあるのか間欠期にあるのかを意識することが重要であると示されました。現在、視神経脊髄炎の再発予防治療のための多くの新規薬が出てきていますが、それぞれ期待される効果や副作用の強さが異なります。群発期間中では期間をしぼってより強力で高価な再発予防薬を選択し、間欠期に入ったと判断され次第、より副作用の軽い治療薬に変更するといったような治療方針の可能性も示唆され、今後の臨床現場への貢献も期待されます。

 本研究成果は2019年11月23日付(日本時間)で、アメリカ神経学会の公式オープンアクセス学術誌「Neurology Neuroimmunology & Neuroinflammation」に掲載されました。

図1. 視神経脊髄炎の患者における臨床経過

 

【用語解説】

注1. 視神経脊髄炎:血清中に水チャネルタンパク質アクアポリン4に対する抗体が出現することを特徴のひとつとする自己免疫関連の中枢神経疾患。適切な免疫抑制治療を施さなければ、主として視神経炎と脊髄炎の再発を高い確率で繰り返す。

 

プレスリリース本文