東北薬科大学 分子薬化学教室

研究内容

Research

当研究室では,新規生理活性物質の探索と核酸医薬への応用を念頭においたヌクレオシド誘導体の合成研究を行っています。研究の主眼はヌクレオシドを中心とした医薬品化学とケミカルバイオロジーですが,新規機能性分子のデザインと合成を通じ,反応開発や触媒開発といった新しい合成手法の開拓についても積極的に取り組んでいます。

新規代謝拮抗剤や核酸医薬構成素子の開発を目指したヌクレオシド誘導体のデザインと合成

クレオシド誘導体は、医薬品化学やバイオ関連分野で幅広く利用されており、新規機能性分子の開発を目的として多くの化合物が合成されています。このうち、医薬分野において、ヌクレオシド系代謝拮抗剤は,抗癌剤に加え,ヘルペスウィルスやエイズの原因ウィルスであるHIVに対する化学療法薬などが臨床で使用されています。さらに,修飾ヌクレオシドはアンチセンス等の核酸医薬の構成素子としての機能も期待されています。当研究室では、新たな制癌性並びに抗ウィルス性ヌクレオシドの創製と核酸医薬への応用を目指し,ヌクレオシド誘導体のデザインと合成を検討しています。また、合成を行う際に、何らかの新しい工夫を含んだ合成法の開拓を念頭に検討を行っています。特に力を入れているのが、新しいグリコシル化反応の開発です。より多様な誘導体の創製を目的とした場合、天然ヌクレオシドからの誘導には自ずと限界が生じてきます。そこでしばしば用いられるのが、修飾を施した糖部を合成した後、核酸塩基との間でグリコシル化反応を行い所望のヌクレオシド誘導体を得る方法です。我々は、これまでに硫黄原子を糖部に含む4’-チオヌクレオシド合成で用いられるPummerer型チオグリコシル化反応の開発をはじめ、いくつかの新しい方法論の開発を行って来ました。

1. Pummerer型チオグリコシル化反応

疑似糖部となるスルホキシドとシリル化した核酸塩基を直接カップリングする、Pummerer型チオグリコシル化反応を開発し、抗腫瘍性ヌクレオシド4’-thioDMDCの合成に成功しました。これらの研究から、さらに高い抗腫瘍活性を有するヌクレオシド4’-thipFACの創製に成功しています。 1. Pummerer型チオグリコシル化反応

2. 硫黄原子の隣接基関与を利用した光延反応

硫黄原子の隣接基関与を利用した光延反応による核酸塩基導入反応を開発し、下記に示した新規イソヌクレオシド誘導体の合成を行いました。 1. Pummerer型チオグリコシル化反応

3. 超原子価ヨウ素を利用した新しいグリコシル化反応

超原子価ヨウ素試薬を用いた炭素環ヌクレオシド合成に応用可能な酸化的カップリング反応の開発を行いました。この反応条件を、フェニルセレニウムイオン等価体をジフェニルジゼレニドから酸化的に調整する反応へと展開し、グリカール類を糖供与体とする新規酸化的グリコリル化反応の開発にも成功しました。この反応を応用し、新規シクロヘキセニルシチジン誘導体及びジヒドロピラノシチジン誘導体の合成を行いました。 3. 超原子価ヨウ素を利用した新しいグリコシル化反応

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有機分子触媒の合成と機能評価

アミノ酸などの生体分子を基本骨格とする有機分子触媒のデザインと合成を行い,不斉反応に応用可能な新規有機触媒分子の開発を行っています。 有機分子触媒の合成と機能評価

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有機金属錯体を用いた新規有機化学反応の開発とその応用研究

遷移金属触媒による炭素-炭素結合形成反応は、有機合成化学分野において極めて重要かつ有用な反応です。我々はパラジウム触媒、もしくはルテニウム触媒を用いた新たな炭素炭素結合形成反応の開発を目指しています。

1. イナミドを基質としたパラジウム触媒による炭素炭素結合形成反応

§§ イナミドを基質とする銅塩不要な薗頭カップリングの開発 §§

無置換のイナミド1を基質とし触媒量のパラジウム錯体存在下、ハロゲン化アリール2と反応させたところ、銅塩無しであるにも関わらずカップリング体3を良好な収率で得ることが出来ました。本反応の基質一般性は高く、種々の置換イナミド合成法として確立することが出来ました。 イナミドを基質とする銅塩不要な薗頭カップリングの開発

2. エンイナミドを基質とした閉環メタセシス

イナミド構造を持つ化合物を基質とする閉環メタセシスについて検討し、ジエナミドを高収率で得ることが出来ました。またこの際、得られたジエナミドを基質とするDiels-Alder反応についても検討し、様々な複素環化合物の合成に応用することが出来ました。 2. エンイナミドを基質とした閉環メタセシス

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立体選択的イミノ糖誘導体の合成とその生物活性評価

1. イリジウム触媒を用いたピロリジン誘導体の立体選択的合成

当研究室では、触媒量のイリジウム(Ir)と不斉配位子を用いた分子内での環化反応を用いたピロリジン化合物の合成を行っています。イリジウム触媒と(S,S,S)-配置の配位子を用いて分子内での環化反応を行う事で、2,5位がトランス配置のピロリジン化合物が高い立体選択性で得られる事が分かりました。得られたピロリジン化合物から、ブルゲシニンの合成を達成しました。 1. イリジウム触媒を用いたピロリジン誘導体の立体選択的合成

2. 五員環イミノ糖の合成とその生物活性評価

糖の環内部の酸素原子を窒素原子で置換したイミノ糖は、糖の疑似化合物として働きます。現在、六員環イミノ糖であるミグリトールがα-グルコシダーゼを阻害する糖尿病治療薬として用いられています。当研究室では、1位にブチル基を持つ五員環イミノ糖の合成を行い、その活性を測定した結果、L型のイミノ糖は、ミグリトールよりも強くα-グルコシダーゼを阻害することが分かりました。 2. 五員環イミノ糖の合成とその生物活性評価

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