当教室では中枢薬理学の観点から、以下のテーマについて研究を進めています。
昇圧ペプチドとして知られているアンジオテンシン II (AngII) が脊髄疼痛伝達機構においてAng IIタイプ1 (AT1) 受容体の活性化とそれに伴うp38MAPKの活性化に起因して、促進的に関与していることを明らかにしています。
さらに、糖尿病性神経障害性疼痛の発現に脊髄内のAngⅡ産生系の亢進とそれに伴うAT1受容体を介するp38MAPKの活性化が関与することを明らかにし、AngⅡは脊髄における痛みの伝達物質あるいは調節物質である可能性を示唆しています。
現在、糖尿病性神経障害性疼痛をはじめとする難治性疼痛に対するAng関連薬の効果について検討を行なっており、有効性を見出したので、この作用機序について検討を行なっています。
現在までに以下に示す2種の精神神経疾患モデル動物の作製を確立し、その発症機序を行動薬理学的、生化学的ならびに病理組織学的手法を用い明らかにしています。
(ⅰ)雌マウスの卵巣を摘出した後ストレスを負荷することにより女性の更年期障害の一つであるうつ様症状が現れることを報告しています。
(ⅱ)マウスの嗅球を摘出するとうつ様行動及び学習機能の低下、母性行動の障害等が認められ、これらの異常行動は、海馬歯状回での神経新生の抑制と相関性があることを見出しています。
マウスの胎生期に神経新生阻害薬のメチルアゾキシメタノールを投与すると思春期後(生後56日目以降)に統合失調症様の行動変化ならびに神経化学的変化を引き起こすことを明らかにしています。この動物モデルを使用し統合失調症の病態解明および新規抗精神病薬の開発を行なっています。
マウスにレム断眠ストレスを施すことで誘発される多動などの異常行動が、注意欠如/多動性障害(ADHD)様症状に類似することを示し、これらの症状の発現ならびに治療薬の薬効発現における前頭皮質のモノアミン神経系の変化や海馬の一酸化窒素系の関与を明らかにしています。
さらに、同様のストレスによって腸管輸送能の亢進や内臓の感覚過敏などの過敏性腸症候群(IBS)様症状が誘発されることを示し、これらの症状発現には、アドレナリンα2受容体が関与することを明らかにしています。
また、上記以外にも、食習慣に着目した咀嚼行動と情動行動障害の発現リスクを明らかにすることを目的とした検討も行っています。
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