薬学科

DEPARTMENT OF PHARMACEUTICAL SCIENCES

カリキュラム&特徴※2023年度以前入学者向け新カリキュラムはこちら
(2024.4~)
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薬学科の特徴

薬剤師が活躍するフィールドは、ますます高度化・細分化しています。
本学科では医薬分業が進む中で、自らが望む薬剤師像を明確にし、さまざまなケースに対応できる専門性かつ柔軟性を持つ人材の育成を目指します。

1〜4年次

1・2年次は、物理や化学、生物学などの基礎科目を広範に学びながら、外国語や倫理学などの総合科目を通し、豊かな教養と人間性を養います。3・4年次は薬学への理解を深め、実務実習に向けて事前学習を行います。

5・6年次

5年次からは、国家試験受験資格に必要な病院および薬局での実習を合計5カ月間にわたり行います。また、教室・研究室に所属し、1年半をかけて問題探究型の卒業研究に取り組みます。

1年次

学習支援体制

1年次前期は、カリキュラムツリーに示すように高等学校における履修履歴の異なる学生のために化学演習・生物学演習・物理学演習を接続科目として配置し、その他にリメディアル教育も加わり、入学生が専門科目の学習に不安なく取り組めるよう配慮しています。薬学教育センターでも面談、学習相談、補習授業などを行い学習を支援しています。

人間力教育

教養教育科目で医療人としての豊かな教養と人間性を備えるための学習を行います。
「社会の仕組」「こころの科学」「文章の表現」「哲学」「論理学」など多くの科目を学ぶ中で人間力を付けて行きます。
「大学基礎論」では大学生としての学びに関連するテーマでの調査学習、スモールグループディスカッション(SGD)、プレゼンテーションを通して、「大学で学ぶ」学習態度を身に付けて行きます。

早期体験学習

前期から薬学と薬剤師について学ぶ「薬学入門」「薬学入門演習」がスタートします。
「薬学入門」では薬剤師の活躍の場がいかに多岐にわたっているかを学びます。さらに人々の健康維持・増進に薬の専門家として貢献することが求められていることを理解し、これからの6年間の学習内容の意義を確認する科目でもあります。
「薬学入門演習」では2つの附属病院を中心とした病院や薬局を訪問し、薬剤師の業務内容や多種多様な医薬品がどのように管理されているかなどを見学学習して来ます。さらに医学部1年生と一緒にハンディキャップの疑似体験学習、薬害被害者による講演の聴講、医療専門職をテーマとしたSGDとプレゼンテーションを行うことにより技能・態度を学んで行きます。
これらの科目には附属病院からも職員が講師として教育に加わっています。

専門科目

薬学専門科目の導入として「生物学」「ヒトのからだ」「薬学基礎化学」「生化学」「人体生理学」などの生物系基礎薬学の科目、「基礎物理化学」「有機化学」などの物理・化学系基礎薬学の科目、「基礎実習」が入ってきます(カリキュラムツリー参照)。薬の専門家としての学習は1年前期から進んで行きます。

前期 後期
教養と倫理
  • 哲学
  • ★社会の仕組 Ⅰ
  • 数学
  • 情報科学 Ⅰ
  • 生物学
  • 物理学 Ⅰ
  • 薬学入門
  • ★化学演習
  • 薬学基礎化学
  • 薬学基礎化学演習
  • ●生物学演習/物理学演習Ⅰ
  • ★健康スポーツ(実技)
  • 英語
  • ★ドイツ語
  • ★フランス語
  • 論理学
  • 人と文化 Ⅰ
  • ★社会の仕組 Ⅱ
  • 情報科学 Ⅱ
  • 統計学
  • 物理学 Ⅱ
  • 基礎実習 Ⅰ・Ⅱ
  • ●統計学演習/物理学演習 Ⅱ
  • 英語
  • ★ドイツ語
  • ★フランス語
コミュニケーション能力
  • こころの科学 Ⅰ
  • 英会話 Ⅰ
  • ★文章の表現 Ⅰ
  • こころの科学 Ⅱ
  • 英会話 Ⅱ
  • ★文章の表現 Ⅱ
健康と福祉
  • ★健康科学(講義)
薬物療法
  • 薬学入門演習
基礎的な科学力
  • ヒトのからだ
  • 生化学 Ⅰ
  • 生化学 Ⅱ
  • 人体生理学 Ⅰ
  • 基礎物理化学 Ⅰ
  • 有機化学 Ⅰ
  • 有機化学演習 Ⅰ
自己研鑽
  • 大学基礎論

★(選択必修科目) ●(選択科目)

2年次

生物系基礎薬学

薬学の基礎となる科目が多く開講されます。
1年後期から始まる「生化学」「人体生理学」は2年次でも続きますが、これらの知識が2年次から始まる「薬理学」「病理学」、3年次から始まる「病態解析学」、「薬物療法学」を理解する上で欠かせないものとなります。
薬がヒトの体、細胞、代謝系にどのように作用して効果を発揮するのか、さらに場合によっては有害作用を現すのかを学ぶ基礎となる領域の学習を行います。

物理・化学系基礎薬学

有機化学は1年後期の「有機化学」から始まり4年次の「創薬化学」まで続きます。
分析学も「分析化学」「機器分析学」、3年次の「分子構造解析学」「臨床分析化学」へと繋がって行きます。
薬の化学的性質を理解し、論理的に医薬品を扱うための基礎となる領域の学習を行います。

社会薬学

「食品衛生学」「病原微生物学」から始まり4年次の「公衆衛生学」「医療統計学」までの社会薬学領域は、薬剤師が国民の健康の保持・増進に積極的に関わっていくために必要な学習となっています。

コミュニケーション

「コミュニケーション実践論」では地域医療、在宅医療に取り組んでいる現場の薬剤師から、患者さん中心の医療に関して豊富な経験を基に講義を受けます。
そして医療・疾病・健康に関連するテーマを学生が決定してプロジェクトグループを編成して調査学習やSGDを行い、これを基に提案型のプレゼンテーションを行います。これはプロジェクト基盤型学習(Project-based Learning)と呼ばれるアクティブラーニングであり、患者さん・生活者のために何ができるかアイデアを出し合いながら新しい提案を生みだすまで行う科目です。医療の現場はまさしくこの繰り返しだからです。

実験実習

2年次からは2週間で1単位の専門科目の実験実習が前期に4週間(有機化学系、生化学系)、後期に4週間(生薬系、物理化学分析系)、開講されています。
基本的な科学的センス、卒業研究に必要な基本操作や結果のまとめ・解析・考察は実験実習の積み重ねで習得して行きます。

医療ボランティア

「医療ボランティア実習」は附属病院、介護施設、献血ルーム等での実習です。
病院では病棟で看護師、看護助手、薬剤師の仕事の手伝いをしながら病院内で働く各種専門職の連携を体感し、患者さん中心の医療について学びます。
入院患者さんや認知症のお年寄りのお手伝いや会話を通して、医療人としての使命感や態度を身につけます。
「医療ボランティア実習」の体験談はこちら

前期 後期
教養と倫理
  • 倫理学
  • 人と文化 Ⅱ
  • ★医療ボランティア実習
  • ★科学史
  • 薬学英語 Ⅰ
  • ★政治学
  • ★経済学
  • ★医療ボランティア実習
  • 薬学英語 Ⅱ
コミュニケーション能力
  • コミュニケーション実践論
健康と福祉
  • ★医療社会学
  • 食品衛生学
  • 病原微生物学 Ⅰ
  • 免疫学
薬物療法
  • 薬理学 Ⅰ
  • 病理学 Ⅰ
  • 薬理学 Ⅱ
  • 病理学 Ⅱ
基礎的な科学力
  • 生化学系実習
  • 生化学 Ⅲ
  • 人体生理学 Ⅱ
  • 基礎物理化学 Ⅱ
  • 物理化学演習 Ⅰ
  • 放射薬品学
  • 有機化学 Ⅱ
  • 有機化学演習 Ⅱ
  • 無機化学
  • 有機化学系実習
  • 分析化学 Ⅰ
  • 生薬系実習
  • 生薬学
  • 生化学 Ⅳ
  • 人体生理学 Ⅲ
  • 応用物理化学
  • 物理化学演習 Ⅱ
  • 有機化学 Ⅲ
  • 機器分析学 Ⅰ
  • 機器分析学 Ⅱ
  • 物理化学・分析系実習
  • 分析化学 Ⅱ

★(選択必修科目)

3年次

医療薬学

カリキュラムツリーでも中心に据えられている領域であり、疾病の治療に関連する科目として「薬理学」に加えて「病態解析学」「薬物療法学」「薬物動態学」と関連科目が開講されます。
これらは1~3年次で学習する生物系基礎薬学の知識の上に成り立っている科目であり、学習は4年次までつながって行きます。医薬品の作用機構と体内動態を理解し、より安全で有効な薬物治療へとつなげるための学習です。
実験実習では「衛生系実習」「安全・病理系実習」「毒性系実習」「ラジオアイソトープ実習」「微生物系実習」が開講します。

医療倫理

2年次の「倫理学」に続いて3年次では「医療倫理入門」が開講します。
3年次では医学部2年生と一緒に献体の会である東北大学白菊会の講演を聴講し解剖学実習を見学します。
さらに死の模擬体験ワークショップを通して患者さんの視点で医療を考えます。さらに薬剤師の倫理規範と法令、患者安全、薬害等について調査学習・SGD・プレゼンテーションを取り入れて医療倫理意識の醸成を図ります。

前期 後期
教養と倫理
  • 医療倫理入門
  • 薬学英語 Ⅲ
健康と福祉
  • 環境衛生学 Ⅰ
  • 病原微生物学 Ⅱ
  • 衛生系実習
  • 環境衛生学 Ⅱ
  • 微生物系実習
薬物療法
  • 臨床検査学 Ⅰ
  • 薬理学 Ⅲ
  • 病態解析学 Ⅰ
  • 病態解析学 Ⅱ
  • 安全・病理系実習
  • 薬物動態学 Ⅰ
  • 臨床検査学 Ⅱ
  • 薬理学 Ⅳ
  • 病態解析学 Ⅲ
  • 病態解析学 Ⅳ
  • 薬物療法学 Ⅰ
  • 薬物療法学 Ⅱ
  • 薬物動態学 Ⅱ
  • 薬物代謝安全性学
  • 毒性系実習
基礎的な科学力
  • 漢方医学概論
  • 人体生化学
  • 学製剤工学概論
  • 有機化学 Ⅳ
  • 分子構造解析
  • 天然物化学
  • ★生化学演習
  • 製剤学
  • RI実習
  • 創薬化学 Ⅰ
  • 臨床分析化学
自己研鑽
  • ★遺伝子工学
  • ★生体分子化学

★(選択必修科目)

4年次

医療薬学

4年次では「調剤学」「薬剤師業務概論」「医薬品情報学」など医療薬学領域の薬剤師の業務に関する科目が多く開講されます。さらに実務に必須の法規である薬事関係法規を学びます。
「薬剤症候学」は薬を摂取することで患者さんに何らかの症状が現れた場合、それが副作用によるものかどうかいち早く気付き、適切な処置につなげて、安全な薬物治療を提供するために必要な科目で、副作用をさらに深く学ぶ「副作用病態学」(6年次)へとつながっていきます。「地域医療」「セルフメディケーション論」は今後増々重要性が高まってくる領域の一つであり、在宅医療・保健福祉の方向性を見据えた学習を進めて行きます。実験実習では「薬理系実習」「薬剤系実習」が開講しますが、さらに5年次からの実務実習に向けた「実務模擬実習」が始まります。

実務模擬実習

模擬薬局および模擬病室等を活用した「実務模擬実習」で薬剤師の実務に関連する技能・態度を身に付けます。
薬局や病院での患者さんからの各種情報の収集や薬の説明、カルテや検査値からの情報の読み方、輸液や抗がん剤の無菌調製、各種の病態を再現することのできるシミュレーター(ロボット)を用いて心音、呼吸音、血圧等のバイタルサインを測定する実習などを行います。この実習は4年次末に受験する薬学共用試験のOSCEを通過するために必要な学習でもあります。

薬学共用試験

薬学共用試験は4年次末に受験しますが、CBT体験受験は9月に実施されます。知識を問うCBTと技能・態度を問うOSCEという2種類の共用試験に合格することで、5年次に実務実習に出ることができます。
CBT合格に向けては「薬学演習」、OSCEに向けては「実務模擬実習」にしっかりと取り組むことで準備して行きます。

自己研鑽

薬剤師は薬、医療、保健衛生に関する最新の知識を身に付けて、より効果的で安全な薬物治療を患者さんに提供する義務があります。そのため卒業後にも自己研鑽の意識は重要であり、その一例として各種の学会認定薬剤師や専門薬剤師といった制度が設けられています。
これらの自己研鑽について学ぶ科目や、医療経済学、災害医療について学ぶ科目も開講します。

前期 後期
教養と倫理
  • 薬事関連法規 Ⅰ
  • 薬事関連法規 Ⅱ
コミュニケーション能力
  • 医療コミュニケーション論
健康と福祉
  • 公衆衛生学
  • 感染制御学
  • 医療統計学
  • ★医療経済論
  • 地域医療
  • セルフメディケーション論
薬物療法
  • 薬理学 Ⅴ
  • 薬理系実習
  • 薬物療法学 Ⅲ
  • 薬物療法学 Ⅳ
  • 薬剤師業務概論
  • 調剤学
  • 医薬品情報学
  • 医療安全管理学
  • 薬剤系実習
  • 薬剤症候学
  • 薬物療法学 Ⅴ
  • 臨床薬学演習 Ⅰ
  • 臨床薬学演習 Ⅱ
  • 実務模擬実習
基礎的な科学力
  • 医薬品安全性学
  • 創薬化学 Ⅱ
  • 細胞と医療
  • 薬効薬理試験評価概論
  • 医薬品開発
  • ★医薬品合成化学
自己研鑽
  • 薬学演習 Ⅰ
  • 薬学演習 Ⅱ
  • 薬学演習 Ⅲ
  • 薬学演習 Ⅳ
  • ★認定・専門薬剤師概論
  • ★救急治療・災害医療

★(選択必修科目)

5年次

研究室配属

5年次からは25の研究室(分子生体膜研究所の研究室を含む)に10~12名ずつ配属になり、1年半にわたる卒業研究が始まります。
各研究室の研究室責任者は、卒業研究、就職活動、国家試験に向けての学習を含めた学生生活全般について指導を行います。同じ研究室配属になった仲間は1年半一緒に卒業研究を行い、研究室の様々なイベントに参加し、薬剤師国家試験受験まで一緒に学ぶ中で、一生の友人となっていきます。

実務実習

薬局および病院それぞれで11週間の実務実習を希望する地域で行うことになります。
宮城県外の実家の近くでの実習(ふるさと実習)もできるよう調整しています。先に薬局で実習を行い続いて病院での実習となります。仙台市内の病院での実務実習先としては、2つの附属病院(東北医科薬科大学病院および東北医科薬科大学若林病院)の他に、東北大学病院、東北労災病院、仙台医療センター、JCHO仙台病院、仙台市立病院、仙台オープン病院、仙台徳洲会病院、石巻赤十字病院、宮城県立がんセンター、大崎市民病院他、県内外の多くの病院で学生が指導を受けています。県立宮城大学と教育研究に関する連携協定を締結し、附属病院での実務実習では宮城大学看護学部の学生と病棟カンファレンスを行っています。これは専門職連携教育(Inter-professional Education, IPE)と呼ばれる学習法です。社会に出てから必須となるチーム医療に薬の専門家として積極的に参加できるよう、学生の時点から薬剤師以外の専門職と共に学び合う取組みです。

PBL

実務実習の入っていない期間は学内で「症例解析」「処方解析」をアクティブラーニングである問題解決型学習
(Problem-based Learning, PBL)で取り組みます。
6週間にわたって調査学習、SGD、プレゼンテーションを繰り返しながら実践的な学びを行います。
調査学習する方向性と内容は多数用意されている課題シナリオに基づいて学生が決定して進めて行きます。その中で扱う疾患は、がん、高血圧症、糖尿病、心疾患、脳血管障害、精神神経疾患、免疫・アレルギー疾患、感染症、呼吸器疾患、脂質異常症などであり、病態と薬物治療を症例と処方箋を基に実践的に学びます。

TBL

PBLとは異なるアクティブラーニングであるチーム基盤型学習(Team-based Learning, TBL)で「アドバンス薬学演習」を行い、薬学の基礎系科目から臨床系科目までの知識を縦横に結び付けて学習することで総合的な実践力へとつなげて行きます。

前期&後期
薬物療法
  • 実務実習 Ⅰ(病院)
  • 実務実習 Ⅱ(薬局)
  • 症例解析(PBL)
  • 処方解析(PBL)
基礎的な科学力
  • 卒業研究
自己研鑽
  • アドバンス薬学演習

★(選択必修科目)

6年次

卒業研究

5年次からの卒業研究は6年の夏まで進めます。研究テーマは創薬学、分子生物学などの基礎系薬学領域から、薬物治療学、臨床薬剤学などの医療薬学領域まで多岐にわたります。
研究テーマに関連する文献を調べ、研究計画を立て、実験ノートに記録しながら実験を進めて行きます。さらに得られた結果について考察し、新たな実験計画を立てて実施することを繰り返して論文としてまとめて行きます。
研究は研究室以外に、中央機器センター、実験動物センター、ラジオアイソトープセンター、情報科学センター、附属病院等を活用して行っています。卒業研究発表会では全学生がそれぞれの研究成果をポスター形式で発表し、質疑応答を行い、その後卒業論文を作成します。

薬剤師国家試験
前期・後期
教養と倫理
  • 医療倫理と患者心理
薬物療法
  • 副作用病態学
基礎的な科学力
  • 卒業研究
自己研鑽
  • 薬学総合演習

★(選択必修科目)

学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)に掲げる6項目の薬剤師として必要な知識・技能・態度を修得するためには、次の図に示すように6年間の学習の積み重ねが必要です。カリキュラムツリーに示すように、このディプロマ・ポリシーに向けて順次性を持って学んで行くようにカリキュラムが編成されています。(この図は学修成果の1つである「薬物療法における実践的な能力」を例として示しています)

学生便覧(薬学部)