薬学教育センター

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第27回 東北薬科大学生涯教育講演会

日時: 平成27年10月31(土) 14:00~17:15

会場: 東北薬科大学講義棟 70周年記念講堂

講演1

「アンジオテンシンIIが関わる病態とその治療薬の薬理」

東北薬科大学薬理学教室教授 丹野 孝一

講演2

「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために(11)
   -リウマチ疾患の薬物治療の現状と処方解析-」

東北薬科大学病院リウマチ科主任部長・病院教授 小寺 隆雄

 
参加費:無料
参加資格:特になし
 
薬剤師研修センター認定: 2単位1)
日病薬病院薬学認定薬剤師制度(研修番号V-2:0.5単位、III-1:1単位)2)
宮城県病院薬剤師会生涯研修認定:1.5単位
  ※申請予定の方には、1)と2)のいずれかのシールをお渡しします。
   (両方同時にお渡しすることはできません)


講演会要旨

講演1 要旨

  「アンジオテンシンIIが関わる病態とその治療薬の薬理」

東北薬科大学薬理学教室教授 丹 野 孝 一

 

 アンジオテンシン (Ang) IIは、アミノ酸残基8個からなるペプチドで、循環血中および組織内で産生される。循環血中では、傍糸球体細胞から血中に分泌されたレニンが、肝臓由来の血漿中アンジオテンシノーゲンに働き、そのN末端からAng Iを切り出し、これに血中あるいは血管内皮細胞表面上に存在するAng変換酵素 (ACE) が働きAng IIを産生する。一方、心臓、血管、腎臓や脳などの組織内では、局所で産生されたアンジオテンシノーゲンが、局所で産生されたレニンによりAng Iに変換され、次いでACEあるいはキマーゼによってAng IIを産生する。循環血中で産生されたAng IIは、血圧や水・電解質の調節維持など生理的に重要な役割を担っているが、その過剰産生は、高血圧症の原因となる。一方、心血管内の組織内で産生されたAng IIは、これらの組織の再構築 (リモデリング) に関わり、高血圧、心肥大や動脈硬化などの病態に深く関与している。このようにAng II は、心血管系の病態に関与していることから、レニン阻害薬は、高血圧症の治療薬として、ACE阻害薬およびAng II受容体拮抗薬は、高血圧症に加え心不全や糖尿病性腎症の治療薬として臨床適応されている。
 

本講演では、病態基盤にAng IIが関わっている高血圧症、心不全、糖尿病性腎症および関節リウマチの発症機序とそれらの治療薬の薬理について概説する。さらに、我々の教室で最近明らかにした“Ang IIが脊髄における痛みの伝達物質あるいは調節物質で、糖尿病性神経障害性疼痛に関与している”との研究結果についても紹介する。

講演2 要旨

 
「医師の処方を理解し、適切な服薬指導をするために(11)
         -リウマチ疾患の薬物治療の現状と処方解析-」

東北薬科大学病院リウマチ科主任部長・病院教授 小 寺 隆 雄

 

 昨今パラダイムシフトという言葉で関節リウマチ治療の進歩が表現されるが、その薬物治療の歴史は、それぞれの薬剤特有の副作用との戦いの歴史でもあった。歴史的には1949年にステロイド剤がリウマチ患者に使用され、その劇的な効果のためノーベル賞が授与された。まさにこの時もパラダイムシフトが起きていた。しかしその後ステロイド単独ではリウマチをコントロールすることが出来ないことが歴史上明らかとなっている。またステロイドの副作用については現代でも克服すべき課題である。最近再評価され全身性エリテマトーデスに使用が可能となったクロロキンは1960年前後に抗リウマチ薬としても使用されたが、クロロキン網膜症の薬害訴訟とともに日本では使用がされなくなった。その後しばらくはNSAIDの時代であった。ジクロフェナク、インドメタシンなどの強力な鎮痛効果は、確かにその時代には痛みの緩和に大きな役割を果たしたかもしれないが、胃潰瘍との戦いをもたらし、関節破壊を止めることは出来なかった。現在の治療に通じる第一歩は1998年にメソトレキサートが承認されたことである。続いて2003年に生物学的製剤であるインフリキシマブが登場し、現在のパラダイムシフトが始まった。これらの治療は、痛みの抑制にとどまらず関節破壊を完全に防ぎ、QOLを向上させ、併用薬の見直しにより胃潰瘍や、ステロイドによる副作用も大きく軽減、さらには平均寿命をも大幅に改善させることに成功した。反面、その強力な炎症抑制効果は、結核、ニューモシスチス肺炎、B型肝炎の再活性化などの懸念をもたらし、メソトレキセートは骨髄抑制や間質性肺炎などの重篤な副作用による死亡者の報告が相次いでいる。現在の治療を歴史的評価に耐えるものにするために、つまり副作用を起こさず効果を最大限にするために、治療の最適化を図ることが重要になりつつある。

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