教養教育センター 研究室案内

Center for Liberal Arts

研究室案内

ドイツ語学DIVISION OF GERMAN STUDIES

STAFF

木戸 紗織 講師

業績

研究テーマ

❶ルクセンブルクの教会における言語選択

研究概要

木戸 紗織 講師
ドイツとフランスに挟まれた小国ルクセンブルクを対象に、社会言語学の観点から多言語社会における言語選択について研究しています。
ルクセンブルクは人口60万人ほどの小さな国ですが、ここではルクセンブルク語・ドイツ語・フランス語の3つの言語が話されています。人々は家庭や幼稚園で母語のルクセンブルク語を、小学校でドイツ語とフランス語を習い、家庭か職場か、読むか書くかといった場面や用途によってこれらを使い分けています。
2つの言語を話す人のことをバイリンガルといいますが、ルクセンブルク人は三言語を話すトリリンガル(三言語話者)であり、このような社会はトリグロシア(三言語併用体制)と呼ばれます。このような環境で、いつ・誰が・どの言語を用いるのかを研究しています。また、第二外国語教育の観点から、多言語話者を養成するルクセンブルクの語学教育にも関心を持っています。
ところで、ルクセンブルクで暮らしているのはルクセンブルク人だけではありません。実はこの国では人口の40%以上を外国人が占めています。そのため上記の三言語以外にも多くの言語が使用されています。さらに近年では、中東からの難民受け入れによってアラビア語を母語とする住民が増えてきました。伝統的な三言語使用と並行して、話者中心の言語選択、すなわち相手の話す言葉に合わせて自分の言語を選ぶという現象も生じています。
多言語化・多国籍化する社会の先行例として、社会と言葉の新しい関係を探っています。
《研究業績》
『Gesundheit! 身近なドイツ語 ―話したくなる10のトピック―』朝日出版社、2020年
『ルクセンブルクを知るための50章』明石書店、2018年(共編)
『多言語国家ルクセンブルク-教会に見る三言語の使い分けの実例-』大阪公立大学共同出版会、2016年

主な担当科目

ドイツ語

薬学部・医学部1年次前後期 / 選択必修 /2単位

Message

ドイツ・スイス・オーストリアで話されているドイツ語は、ヨーロッパで最多の母語話者を抱える言語です。これらの国々はヨーロッパにおける政治・経済の牽引役であるだけでなく、東西冷戦の象徴ともいえる壁によって分断された土地でもあり、またグリム童話や偉大な音楽家たち、さらには美味しいチョコレートの故郷でもあります。そして何より、有名な製薬会社や医療機器メーカーが数多く存在していることも忘れてはなりません。このように様々な面で身近なドイツ語を一緒に勉強しましょう。