【プレスリリース】不十分な降圧薬処方が血圧コントロール不良の大きな要因：治療薬の強化により4割の血圧管理不良を改善できる可能性－ビッグデータからの解析結果－

発表のポイント

・健康保険組合と国民健康保険の健診・レセプトデータを組み合わせた大規模データ解析を行いました。
・高血圧治療中患者のうち、適切に高血圧治療薬を3剤以上に強化することで約4割の血圧コントロール不良を解消できると試算されました。
・しかし、治療前の収縮期/拡張期血圧が180/≥110 mmHgの患者のうち、3剤以上の高血圧治療薬が処方されていた割合はわずか9.9%でした。
・臨床イナーシャと呼ばれる医療従事者の不十分な高血圧治療が血圧コントロール不良の大きな要因であることが示されました。

概要

多数の高血圧治療薬が開発された昨今では、多くの高血圧をコントロール可能と考えられていますが、リアルワールドでは高血圧治療者における血圧コントロールが不十分であることが示唆されてきました。
東北医科薬科大学医学部衛生学・公衆衛生学教室の佐藤倫広講師らの研究グループは、DeSCヘルスケア株式会社が保有する健康保険組合および国民健康保険の加入者から得られた大規模な健診・レセプト情報のうち二次利用許諾を得たデータを解析し、不十分な高血圧治療と血圧コントロール状況の関係を定量的に明らかにしました。その結果、高血圧治療薬を3剤以上に適切に増量することで、高血圧治療中患者における血圧コントロール不良の約4割を解消できると推計されました。しかし、治療前血圧がIII度高血圧という非常に高いレベルであっても、その約1年後に高血圧治療薬を3剤以上処方されていた患者の割合はわずか9.9%でした。高血圧治療薬を適切に強化することで、高血圧治療者における脳心血管疾患の多くを防げる可能性があります。