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【プレスリリース】腎うっ血による腎障害機序の一端を解明~ヒト腎臓で初めてペリサイトはく離を検出~

発表のポイント

● 実験動物およびヒト検体(心不全患者)において、静脈圧の上昇により腎臓がうっ血することで、腎直血管の周皮細胞(ペリサイト)がはく離することを初めて見出しました 

● 腎臓のうっ血状態の解除によりペイサイトはく離、腎障害が抑制されることを明らかにしました

● 体液貯留のある心不全や腎不全では、減塩や利尿剤による腎うっ血の解除は腎障害に対する有望な治療・予防戦略となることが期待できます

研究概要

 心不全や肝不全では腎障害がしばしばみられますが、これまで腎静脈圧上昇や腎うっ血に着目し、そのメカニズムを解明する研究は限られていました。
 東北医科薬科大学医学部内科学第三(腎臓内分泌内科)教室 森 建文(もり たけふみ)教授と東北大学大学院医学研究科 廣瀬 卓男(ひろせ たくお)助教らの研究グループは、動物実験とヒト検体の腎臓を用いた検討を行い、静脈圧の上昇により腎臓がうっ血することで、腎直血管の周皮細胞(ペリサイト)がはく離することを明らかにしました。本成果は、心不全や肝不全等による体液貯留に伴う中心静脈圧、腎静脈圧の上昇が引き起こす腎うっ血による腎障害の病態理解や治療・予防法の開発に役立つことが期待され、「すべての人に健康と福祉を」のSDGsに貢献します。
 本研究成果は2023年10月16日付けで国際専門誌Hypertension Research誌に掲載されました(doi: 10.1038/s41440-023-01451-3)。

論文名

Pericyte detachment and renal congestion involve interstitial injury and fibrosis in Dahl salt-sensitive rats and humans with heart failure

(ヒト心不全患者およびダール食塩感受性高血圧ラットにおいて、腎うっ血とペリサイトはく離が腎障害・線維化に関連する)

掲載紙:Hypertension Research

https://doi.org/10.1038/s41440-023-01451-3

著者名

Hiroki Ito, Takuo Hirose*, Shigemitsu Sato, Chika Takahashi, Risa Ishikawa, Akari Endo, Ayaka Kamada, Ikuko Oba-Yabana, Tomoyoshi Kimura, Kazuhiro Murakami, Yasuhiro Nakamura, Kazuhiro Takahashi, Takefumi Mori*

*責任著者

なお、本研究は文部科学省および日本学術振興会による科学研究費補助金(課題番号:19H03677、19K17661、20K08612、23K07690)、武田科学振興財団、持田記念医学薬学振興財団の助成金の支援を受けて行われたものです。

研究の詳細・お問い合わせ先

プレスリリース本文

内科学第三(腎臓内分泌内科)教室ホームページ

https://tohokupd.jimdofree.com/