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本学医学部4年生の渡辺智文さんにより3年次の”課題研究”で行われた研究が、論文として「Neuroscience Research誌」に受理され、同誌WEBサイトに掲載されました。
本論文は、本学医学部生を筆頭著者とした学術論文です。 ぜひ多くの皆さまにご覧頂けると幸いです。
「Neuroscience Research誌」WEBサイトはこちら
【論文詳細】
論文タイトルは、『Meta-analysis of cognitive and behavioral tests in leptin- and leptin receptor-deficient mice(レプチンおよびレプチン受容体欠損マウスにおける認知・行動課題のメタ分析)』です。
レプチンは脂肪細胞により産生され、食欲抑制等の役割をもつホルモンですが、認知・行動への影響も指摘されています。しかしながら、肥満の動物モデルとして広く用いられるレプチンないしはレプチン受容体欠損マウスの認知・行動テストの結果は、研究グループ間で整合的なものではありませんでした。
そこで本研究では、レプチンないしはレプチン受容体欠損マウスの認知・行動テストを行った論文を数多く収集し、それらを包括的に解析するメタ分析を行いました。その結果、レプチンないしはレプチン受容体欠損マウスでは、記憶力の低下、うつ様行動が顕著である一方、不安様行動は示さないという結果が得られました。
近年、うつ病についての新たな仮説として、記憶形成に重要な役割を果たす海馬における炎症や神経新生の低下との関連が指摘されていますが、本研究の結果はそれと矛盾しないものでした。また、抗うつ効果と抗不安効果を併せ持つ抗うつ薬もありますが、それらの機序は同一ではないことも示唆しています。更に、論文では、実験に用いる動物の週齢やデバイスサイズへの注意も喚起しています。
考察では、学習・記憶、うつ、不安の関係を計算論的精神医学の観点で論じました。