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医学部公衆衛生学教室の目時弘仁教授が「日本医師会 医学研究奨励賞」を受賞しました!

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 医学部公衆衛生学教室の目時弘仁教授が「日本医師会 医学研究奨励賞」を2020年11月1日に受賞されました。受賞に至ったご経緯と先生のご研究についてお伺いしました。

 

この度のご受賞おめでとうございます!まず、今回のご受賞に至った経緯をお話しいただけますか?

 これまで私は、「脳卒中や心臓病などの生活習慣病がどうして起こるのか」「どうしたら予防できるのか」に興味をもって研究してきました。
 実は昨年、日本疫学会奨励賞を受賞し、学会から今回の賞を勧められたことがきっかけです。これまでの研究の延長線上に、今回の受賞があります。

 

過去には山中伸弥先生も受賞されています!

 山中先生は奨励賞(平成17年度)と医学賞(平成22年度)を受賞されています。内科学・外科学・社会科学など、医学のいろいろな分野のかたが受賞されているのがこの賞の特徴と思います。奨励賞ではいままでの業績よりも、これからの展望に対して「今後も頑張りなさい!」と言われているように感じます。

 

日本疫学会奨励賞を受賞されたとのことですが、これまでどのような研究をされてきたのでしょうか。

 岩手県農村部の脳卒中リスクを追跡するため、血圧などとの関係を約30年にわたって調査している研究に研究者として20年前から関わっています。東日本大震災の直前(2011.1)に始まったエコチル調査では、震災の影響による心理的ストレス上昇や親しいパートナーによる暴力などもみえてきました。震災後の調査で祖父母・父母・子の3世代を追跡すると、感染症以外の病気が家族内でみられるケースもあります。遺伝のほかに、食事や運動などの生活習慣が関わっている可能性もあります。

 

ご受賞の研究「感染症流行下でのNCDsリスクの変化の観察と介入可能項目の探索:一般地域住民コホートや出生コホートでの検討」について、詳しく教えていただけますか?

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NCDs:Non-communicable diseases「感染症以外の疾患」) コロナウイルス感染拡大による活動変化が、どのように生活習慣病と関わっているのかを研究します。例えば、感染を避けるために運動不足となり、高血圧や高血糖がすすんだひとがいるかもしれません。逆に、飲み会が減ったり、少人数で出来る農作業に集中できたりしたことで、より健康になったひともいるかもしれません。一斉休校の前後で子供たちの肥満率が変化したのかも検討できます。コロナ禍による生活変化で、どのような生活習慣病リスクが生じたのかを明らかにしたいと考えています。

 

先生のご研究は、どのように医療に活かされるのでしょうか?

 今回のコロナ禍が終息しても、今後何らかの感染症の流行はいずれまた必ず起こります。今回の経験を分析することで、感染症流行下での生活習慣病リスクがあらかじめ明らかになっていれば、次の流行時は早期に介入して病気を減らせると期待しています。

 

先生にとって公衆衛生学の研究の面白さは、どのようなところにありますか?

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 これは公衆衛生学以外の医学研究でも同じですが、ひとつのことが分かるとたくさんのひとの健康に貢献できることが、研究の面白さと思います。また、原因と結果が必ずしも直接リンクしていなくても、関係性を推測して病気の予防に繋げられることが、公衆衛生学の面白いところです。しかし誤った推測で疾患対策を行うと、個人の健康状態のみでなく社会活動にも大きな悪影響を及ぼしかねません。十分な注意が必要とも感じています。

 

コロナ禍の影響で、研究面で大変なことはありましたか?

 私たちの研究は多くのボランティアの方々に支えられています。生活習慣の把握には、日々の血圧測定やアンケートなどが欠かせません。しかしコロナウイルス感染防止の観点から、病院や検査施設に来ていただくことが難しくなりました。徐々に再開してはいますが、影響は出ています。

 

先生の息抜き”は何でしょうか?

 大学ではサイクル部の顧問もしており、自転車に乗ることが好きです。数年前から、Webによる仮想空間で世界中の選手と競い合う環境があります。最近では、多い時には数千人の選手と同時に、しかしそれぞれが世界中の様々な場所で、会話やチャットをしながら走っています。ひとりで自転車やエアロバイクに乗るよりも、モチベーションが維持されやすいです。コロナ禍でも、このように息抜きできました。

 

最後に、医師・薬剤師・研究者を目指すみなさんへ、メッセージをお願いします!

 日々感じている何気ない疑問、何が明らかで何が明らかでないのか、そのようなことが研究に繋がるのでは?と感じています。臨床or研究と、どちらか一方を切り捨てる必要は無いと思います。目の前の患者さんが「新たな疾患」や「薬の副作用」の初症例かもしれません。わからなかったことが明らかになることで、次の患者さんに役立てることができます。医学や薬学を学ぶみなさんには、「これは私に関係ない」と切り捨てず、広い視野を持っていろいろなことに興味を持って欲しいです。

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目時先生、ありがとうございました。 ご受賞おめでとうございます。研究のご発展をお祈りしています。

 

関連リンク

 日本医学会e-News No.2(2020年10月)