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【プレスリリース】脊髄悪性腫瘍を対象とした光線力学的療法の医師主導治験を実施中~国内で初めての脊髄悪性腫瘍に対する光線力学的療法の開発~

【発表のポイント】

●脊髄悪性腫瘍(神経膠腫)は国内で年間30例程度の希少疾患となっている。現行の治療法である手術、放射線治療、全身化学療法による根治は難しく、予後は極めて不良である。
●現在、新規治療法である光線力学的療法(Photodynamic Therapy:PDT)の脊髄悪性腫瘍に対する有効性と安全性を確認するための医師主導治験を行っている。
●治験は全国6施設(北海道大学病院、東北医科薬科大学病院、国立がん研究センター中央病院、東京医科大学病院、名古屋大学医学部付属病院、大阪医科薬科大学病院)で実施、被験者の登録期間を 2024 年 3 月までとし、2025 年 3 月に治験終了(全被験者の観察終了)を予定している。

【概要】

東北医科薬科大学 医学部 脳神経外科学教室の遠藤 俊毅(えんどう としき)教授らの研究グループは、脊髄悪性腫瘍に対し、光感受性物質及び光線力学的療法半導体レーザ装置を用いた光線力学的療法による医師主導治験(第 Ⅱ相)を実施しています。
過去別の治験では、悪性脳腫瘍に対して光線力学的療法を行い、標準治療を凌駕する良好な結果(平均生存期間24.8ヶ月、1年生存率100%)が得られました。2013年には、原発性悪性脳腫瘍に対する新規治療法として光線力学的療法は世界で初めて薬事承認を得て、現在は年間200を超える症例に実施されています。
本治験は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)革新的がん医療実用化研究事業に採択されており、課題名「脊髄悪性神経膠腫を対象とした光線力学療法の開発研究」(課題番号:JP23ck0106738)で支援を受けて実施しています。また、2022年に独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)に治験届を提出しています。

【背景】

脊髄悪性腫瘍(神経膠腫)の本邦における新規患者数は、年間30人程度と推定され、非常に稀な疾患です。脊髄悪性腫瘍に対する標準治療は手術による可及的腫瘍摘出、そして放射線化学療法となっていますが、一年生存率が約60%、生存期間中央値が約13ヵ月と報告されており、予後が極めて悪い疾患です。
悪性脳腫瘍も同様の問題を抱えていますが、上述の通り、その標準治療には光線力学的療法が局所治療法として行われており、治療成績の改善に寄与しています。一方、悪性脊髄腫瘍に対する光線力学的療法は保険適用されておらず、標準治療には含まれていません。しかし、脳腫瘍と脊髄腫瘍は病理学的に同一の腫瘍であることから、悪性脊髄腫瘍における光線力学的療法は、悪性脳腫瘍における効果と同様の効果が期待できます。特に、原発性悪性脊髄腫瘍における有効な局所追加療法が存在しない現在、本疾患に対する光線力学的療法の果たす役割は大きいと考えます。

 

プレスリリース本文

 

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