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【プレスリリース】低出生体重が及ぼす世代を超えた負の影響を解明 ―次世代の健康リスクを軽減する新たな治療法開発への糸口―

発表のポイント

低出生体重児(注1に生じやすい病態を調べるために、低出生体重児のモデルマウスを新たに確立しました。
このマウスの解析から、出生時に低体重だと成体期に腎障害や高血圧を生じうるだけでなく、妊娠した際に肝臓や胎盤の代謝障害をきたし、次の世代の出生時体重も低下するなど、影響が世代をまたいで持続する機序がわかりました。
PDE5阻害薬タダラフィル(注2の母体マウスへの投与が、低出生体重に起因する将来および次世代への健康リスクを軽減する効果を認めました。

研究概要

 出生時の体重が2,500 g未満の低出生体重児は、将来成人になったときに高血圧などの生活習慣病の発症リスクが高く、その影響は次世代にも及ぶことが知られていますが、その基礎となるメカニズムや効果的な治療介入法は明らかではありません。低出生体重児の割合が高い我が国では、その機序の解明と治療介入法の開発が医療的な課題となっています。

 東北大学大学院薬学研究科 臨床薬学分野 佐藤恵美子(さとうえみこ)准教授、堰本晃代(せきもとあきよ)助手(研究当時、現所属:東北医科薬科大学)、髙橋信行(たかはしのぶゆき)教授らのグループは、低出生体重のモデルマウスを確立し、成人期や次世代に及ぼす健康への負の影響とその機序を明らかにしました。

 本成果は低出生体重が関わる健康問題に対する予防・治療薬の開発に貢献すると期待されます。

 本成果は2024年10月11日に学術誌iScienceに掲載されました。

 なお、本成果は東北大学大学院医学系研究科 腎臓内科学分野 三島英換(みしまえいかん)非常勤講師、田中哲洋(たなかてつひろ)教授、帝京大学 三枝大輔(さいぐさだいすけ)准教授、三重大学 池田智明(いけだともあき)教授との共同研究によるものです。

(用語解説)

注1. 低出生体重:産まれたときの体重が2,500 g未満であることを示す。
注2. PDE5阻害薬タダラフィル:ホスホジエステラーゼ5阻害薬で、血管拡張作用をもつ。

論文名

タイトル:Impacts of low birthweight on kidney development and intergenerational growth of the offspring

低出生体重が腎臓の発達と世代を超えて与える影響

掲載誌:iScience

DOI:10.1016/j.isci.2024.111159

ウェブサイト:https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(24)02384-8

著者名

Akiyo Sekimoto, Yoko Takaso, Haruka Saruyama, Masataka Ookawa, Mari Yamamoto, Takafumi Toyohara, Daisuke Saigusa, Tomoko Fukuuchi, Mayu Otsuka, Yui Fushiki, Seiko Yamakoshi, Kayo Tanaka, Tomoaki Ikeda, Tetsuhiro Tanaka, Nobuyuki Takahashi, Eikan Mishima, Emiko Sato*

研究の詳細・お問い合わせ先

プレスリリース本文