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基礎医学と臨床医学が密接に連携する本学医学部の体制を活かした研究成果が、このたび米国心臓協会発行の国際学術誌「Hypertension」に掲載されました。
● 心不全や腎不全の治療分野で近年注目されているSGLT2阻害薬の標的分子「SGLT2タンパク質」を正確に検出するための抗体について、迅速な遺伝子改変動物の作製など各分野の強みを活かし、系統的に比較検証しました。
● ごく限られた市販抗体と最適化した実験条件の組み合わせにより、SGLT2タンパク質を特異的に検出できました。
● これまで報告が一貫していなかった心臓組織や腎癌細胞では、SGLT2タンパク質が検出されませんでした。
SGLT2は腎臓でブドウ糖を再吸収する輸送体であり、SGLT2阻害薬は当初糖尿病治療薬として開発されました。近年では、糖尿病のない心不全や慢性腎不全の治療薬としても使用され、循環器・腎臓領域においても大きな注目を集めています。しかし、その作用機序には未解明の点も残されています。
SGLT2阻害薬の作用機序を正しく理解し、腎臓や心血管系における新たな役割を解明するためには、まず標的タンパク質であるSGLT2を「正しく検出する」ことが不可欠です。しかし、「どの臓器にSGLT2タンパク質がどの程度発現しているのか」については、検出に用いる抗体の特異性の問題などから、これまで研究結果が一致していませんでした。
本研究では、CRISPR/Cas9ゲノム編集技術に基づいて作製したSglt2欠損マウスおよびラット、超解像顕微鏡技術、ヒト病理検体解析など、本学医学部内の複数分野(内科 学第三(腎臓・高血圧内科)、病理学、解剖学、泌尿器科学、公衆衛生学・衛生学、統合腎不全医療寄附講座)それぞれの専門性を活かし、これまで文献で頻用されてきた8種類の市販抗SGLT2抗体について体系的に比較検証を行いました。
その結果、次の点が明らかになりました。
・実験条件を最適化することで、腎臓におけるSGLT2タンパク質の発現が一部の抗体で正確に検出できること
・頻用されている抗体の中には、Sglt2欠損マウス・ラットの腎臓にも反応を示すものがあり、他タンパク質への交差反応が疑われること
・心臓組織や腎癌細胞では、SGLT2タンパク質が検出されないこと
本研究は、SGLT2阻害薬の作用機序をより正確に理解するための基盤を築くとともに、タンパク質研究において「抗体を適切に検証すること」の重要性を具体的に示すものです。本学では今後も、医学部内の分野横断的な研究体制を活かし、地域医療の質的向上に資する科学的基盤の構築と、基礎と臨床を橋渡しする研究のさらなる発展に努め、地域医療を支える高度医療人材の育成と研究の両立を図ってまいります。
タイトル:Reliable Detection of SGLT2 Protein by Knockout-Based Antibody Characterization(遺伝子欠損動物を用いた抗SGLT2抗体の検証)
著者名:Takuo Hirose, Hiroki Ito, Akari Endo, Shigemitsu Sato, Chika Takahashi, Takahito Kaburaki, Kentaro Yano, Risa Ishikawa, Ayaka Kamada, Ikuko Oba-Yabana, Michihiro Satoh, Kento Morozumi, Yasuhiro Kaiho, Yasuhiro Nakamura, Keiju Kamijo, Wako Yumura, Takefumi Mori
掲載紙:Hypertension
DOI:https://doi.org/10.1161/HYPERTENSIONAHA.125.26135
本研究は、「科学研究費助成事業〈KAKENHI〉」「武田科学振興財団」「持田記念医学薬学振興財団」「興和生命科学振興財団」「横山臨床薬理研究振興財団」「宮城県腎臓協会」の助成を受けて実施されました。また、統合腎不全医療寄附講座は、株式会社ジェイ・エム・エス、テルモ株式会社、一般財団法人 脳神経疾患研究所からの寄附を受け、腎不全医療の教育・研究の発展を目的として運営されています。
◆研究に関すること
医学部 内科学第三(腎臓・高血圧内科)教室
教授 森 建文
TEL:022-290-8895
Email:tmori*tohoku-mpu.ac.jp(*を@に置き換えてください)
◆取材に関すること
学務部 入試・広報課
TEL:022-727-0358
Email:koho*tohoku-mpu.ac.jp(*を@に置き換えてください)