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● C. neoformansの機能未知遺伝子の中から、新規なマンノース転移酵素遺伝子CGM1を発見しました
● CGM1遺伝子がコードするマンノース転移酵素(Cgm1)はGXMGalの生合成に関与することを実証しました
● CGM1遺伝子をノックアウトしたC. neoformansはマウス体内での増殖が著しく抑制され、免疫系によって積極的に排除されていることを実証しました
● CGM1遺伝子がコードするマンノース転移酵素がC. neoformansに対する新たな抗真菌薬の創薬ターゲットとして
有望であることを提唱しました
病原性担子菌酵母であるCryptococcus neoformansはハトの糞で汚染された土壌に多く生育するクリプトコッカス症の原因菌として知られています。クリプトコッカス症は免疫不全者だけでなく、免疫正常者にも発症することや、髄膜脳炎などを引き起こし、致死率が極めて高いことが特徴です。
C. neoformansの細胞表面には莢膜と呼ばれる分厚い多糖構造が存在しており、強力な免疫抑制作用があることから、莢膜はC. neoformansの主要な病原性因子であると考えられていました。そのため、莢膜の生合成に関連する酵素の阻害剤はクリプトコッカス症に対する特効薬になる可能性があります。莢膜はグルクロノキシロマンナン(GXM)とグルクロノキシロマンノガラクタン(GXMGal)の2種類の多糖で構成されていますが、特にGXMGalの生合成メカニズムはほとんど明らかになっていませんでした。
崇城大学および東北医科薬科大学の共同研究チームは、東北大学と共同で、GXMGalの生合成に関与する新規マンノース転移酵素Cgm1を発見しました。また、C. neoformansにおいてCGM1遺伝子をノックアウトすると、マウス体内での増殖が著しく抑制されることを明らかにしました。興味深いことに、CGM1遺伝子をノックアウトしたC. neoformansを感染させたマウスでは、免疫系の活性化に重要なインターフェロン-γの産生が増強されることが明らかになりました。このことは、GXMGalにおいてCgm1が生合成する糖鎖部分がマウスの免疫系の抑制に重要であることを示しています。
論文タイトル:Cgm1 is a β-galactoside α-(1→4)-mannosyltransferase involved in the biosynthesis of
capsular glucuronoxylomannogalactan in Cryptococcus neoformans
著者:Chihiro Kadooka*, Yutaka Tanaka, Ko Sato, Hayato Sato, Daisuke Hira, Shun Yakabe,
Kazuyoshi Kawakami, Takuji Oka*
雑誌名:PNAS Nexus
DOI:https://doi.org/10.1016/j.jbc.2025.110632
•崇城大学 生物生命学部:
門岡 千尋 准教授
平 大輔 教授
矢壁 駿 (大学院 工学研究科 応用微生物工学専攻 修士課程)
岡 拓二 教授
•東北医科薬科大学 薬学部:
田中 大 助教
•東北大学 大学院医学系研究科:
佐藤 光 助教
佐藤 隼人 (研究当時:学生)
川上 和義 (研究当時:教授、現在:広瀬病院)
薬学部 感染生体防御学教室 助教 田中 大