大学紹介
UNIVERSITY
UNIVERSITY
仙台には明治時代から官立の「仙台医学専門学校」があり、医師と薬剤師を養成していたが、1918年に東北帝国大学医科大学として昇格した際、薬学科は廃止の憂き目に。以降、約20年間、東北・北海道には薬学教育機関がない状態が続いた。この事態に、仙台市内で高柳病院を開業していた高柳義一先生を中心とする有志は私財を投げうち、薬学専門学校の設立に奔走。文部省(現・文部科学省)との交渉、施設の整備、教授陣の確保など、数多くの困難を乗り越え、1939年3月に本学の前身となる「東北薬学専門学校」の設置が認可され、同年5月20日第1回入学式を挙行、この日を創立記念日と定めた。
敗戦という我が国有史以来の激動の時代を迎え、教育はもちろん、経営も意のままにならない状況が続く中、1947年の学制改革により旧専門学校は国立大学に合併するか単独大学への昇格、または廃校することが求められた。各校が厳しい選択を迫られる中、高柳義一先生は、同窓会や二松会 (在学生保護者会)の声援を受けて単独大学設立を決意。再び私財を投じて、大学の設置に尽力し、1949年3月、ついに東北薬科大学(薬学部薬学科)の設置認可にこぎ着けた。
日本の私立薬系大学では初となる附属癌研究所の開設(1959年4月)に続き、1962年4月、大学院薬学研究科修士課程を開設。 1964年3月には大学院薬学研究科から初の薬学修士学位記を授与することができ、同時に大学院薬学研究科博士課程の設置も認可された。大学院の設置は、日本の私立薬科大学では初めてのことであり、薬学関係者をも驚かせる出来事だった。
創立30周年を迎えた1969年以降になると、質の高い薬学研究・教育のために施設・設備の充実が図られることになる。まず校舎を一新すると、1982年にはがん研究やがん医療に不可欠な「ラジオアイソトープセンター」が完成。1984年には薬系大学としては初めての本格的な実験動物施設である「実験動物センター」を開設した。 そして21世紀を目前にひかえた1990年代後半。科学技術や情報化の進歩はめざましく、大学には変化に即応した高度な教育・研究を推進していくことが求められた。本学では1996年に情報処理教育に備えた講義棟が竣工。1998年には「情報科学センター」を設置し、大学のホームページも開設した。
医療技術の高度化、医薬分業の急速な進展、さらには医療現場で直ちに活躍できる「医療の担い手」としての薬剤師養成をという社会の要請の高まりに応えて、2004年5月に改正学校教育法が公布された。これにならい本学薬学科は、2006年度に6年制へ移行。さらに基礎薬学を土台に、医学と薬学の2つの領域にまたがる生命科学の高度な専門知識を修得させ、多様な分野で活躍できる人材の養成を目指して「生命薬科学科 (4年制)」を開設し、2学科体制の新たな薬学教育がスタート。なお、当時薬学部を持つ私立大学58校のうち、法改正に合わせて4年制の学科を開設したのは12校で、先に卒業生を出した生命薬科学科一期生の進路決定率は100%であった。
2009年の創立70周年に向けて、2006年2月には本学のランドマークともいえる教育研究棟が完成。ラテン語で真理を意味する「VERITAS (ウェリタス)」と名付けられた。さらに2008年4月、学生ホール、図書館・情報センター、高柳義ー記念室、70周年記念講堂を整備。2009年3月には、中央棟が完成し、新キャンパスの整備が完了した。また同年度の文部科学省の学生支援推進プログラムに採択されるなど、ハード面・ソフト面共に充実した状態で70周年を迎えた。社会環境が大きく変化する中、激動の波に翻弄されながらのキャンパス整備事業であったが、すべて免震•耐震構造を採用したため、2011年の東日本大震災においても、建物の被害は極めて軽微であった。
幅広い診療能力を持った医師を育成し、東北の地域医療を支えるという重要な使命のもと、2016年4月に医学部医学科を開設。日本では37年ぶりとなる医学部開設だった。これに伴い「東北薬科大学」から「東北医科薬科大学」、2013年に開設した「東北薬科大学病院」を「東北医科薬科大学病院」にそれぞれ名称を変更した。
医学部開設に伴い、宮城野区福室に所在する附属病院の隣接地に医学部教育研究棟を建設。2017年、第2教育研究棟(実習棟)が、2018年1月には第1教育研究棟が竣工し、東北の医療を支える総合診療医の育成拠点として、福室キャンパスが本格的に稼働した。さらに2019年1月には、第1教育研究棟に隣接する、新大学病院棟が完成し、集中して実習や研究に取り組める環境が整った。
創立にあたり、創設者たちは地域社会に貢献できる薬剤師の養成を最大の目標としつつ、薬学の教育・研究を通じ、広く人類の健康と福祉に貢献することを願い、真理の探求に邁進するという高い志を掲げた。この精神は、大学創設者高柳義一先生の残された「われら真理の扉をひらかむ」という言葉に凝縮され、本学の建学の精神として碑に刻まれ(開真の碑)、今に伝えられている。
真理の探究は、まさに大学の使命である教育・研究の原点であり、この建学の精神は今後も我々に教育・研究に真摯に取組む姿勢と努力を求め続けるものと言える。
薬学科(6年制)では、近年の医療技術の高度化に対応できる質の高い薬剤師の養成を主たる目的としており、まず医療人として高い倫理観や深い教養に裏付けられた、心豊かな人間性のある人材育成に努める。専門教育では医療薬学系の教育や実務実習の充実を図る目的で、臨床薬剤学実習センター、模擬薬局などを教育研究棟に配置し、実践に即した専門的な知識と技術の修得を目指す。また、医療の現場において自ら課題を見つけ解決していく能力を身に付けさせるため、PBL教育の導入など高学年のカリキュラム内容を十分に工夫されている。
生命薬科学科(4年制)は、従来の基礎薬学を土台にして、ポストゲノム時代における医学と薬学の二つの領域にまたがる基礎専門知識を教授し、大学院への進学を前提に、製薬会社・各種研究機関での研究・開発、医薬品情報提供、販売業など多様な分野で活躍できる人材育成を目的としている。本学科は、東北・北海道の私立大学薬学部では唯一の学科であり、薬学・産業界のみならずこの地域にとっても大きな存在意義を持つものと期待されている。
本学は、昭和37(1962)年、私立薬科大学では初めての大学院を開設し、50有余年の実績を積み重ねており、医療の現場や企業のニーズに応える、より高度な専門性を身につけた人材育成を行っている。
薬学科(6年制)を基盤とした4年間の「薬学専攻博士課程」は、『臨床』をキーワードとし、医療現場で高度な専門的知識技術を活かす臨床能力と様々な臨床的課題を薬学的な観点から解決できる研究能力を兼ね備えた薬剤師、研究者の養成を目指している。
生命薬科学科(4年制)を基盤とした2年間の「薬科学専攻博士課程前期課程」は、創薬科学コース・生命科学コースの2つのコースに分かれ、薬学分野の研究に必要な基本的知識と技術を修得することにより修士の学位を取得できる。さらに3年間の「薬科学専攻博士課程後期課程」では、より高度な専門知識と技術を修得し、自らの判断で研究開発を遂行できる研究者及び技術者の養成を目的としている。
医療現場では、各地域の医療ニーズを理解し、疾病の予防から各種疾患の複合状態にも適切に対応でき、病める人を全人的に支えることができる、幅広い臨床能力を持った総合診療医が求められている。本学医学部では、滞在型地域医療教育や災害医療教育等特色あるカリキュラムにより、地域への理解を深めながら、幅広い診療と災害医療に対応できる医師の育成を目指している。
大学の地域社会との関わりや貢献も本学にとって重要な課題である。本学は、一般薬剤師を対象とした生涯教育やワークショップ、一般市民を対象とした定期的な講座・講演会、また高校生対象の高大連携事業など、地域社会と結びついた様々な事業を行ってきた。また、実地医家と薬剤師との勉強会、医薬連携も積極的に行っている。さらに、仙台圏を中心とした大学等の高等教育機関により組織された学都仙台コンソーシアムの事業等にも参画している。こうした地域に貢献できる活動をさらに充実させ、社会に対する知の還元に努めていく。
地域医療への貢献として、附属病院(東北医科薬科大学病院、若林病院)による地域医療機関と連携した医療の提供を行っている。また、医師不足に悩む地域の診療体制を支援するために、地域医療総合支援センターを窓口として、地域性や診療科を考慮しながら本学の医師を派遣し、地域医療機関からの要請に応えている。登米市および石巻市に設置されている地域医療教育サテライトセンターには、医学部教育のために教員医師を配置している。この教員医師は、教育のみならず、当該地域の医療にも参加し、本学の地域貢献の一翼を担っている。
本学は、下記の大学や研究機関と学術・教育・研究に関する協定等を結び、国際交流を行っている。
今後さらに最先端の医学・薬学・生命科学研究を通じて国内外の大学との交流、国際シンポジウムや国外研究者による講演会を開催するなど、医学・薬学・生命科学研究における拠点研究機関として、その成果を継続して国内外へ向けて発信していくことを目指している。また、留学生の積極的な受け入れも進めている。