医学部 研究室案内
Faculty of Medicine
Faculty of Medicine
気分障害、ストレス関連疾患、アルコール依存の臨床・脳機能・基礎研究を展開している。
当研究室では、上記の研究テーマに関連して多彩な基礎・臨床研究を展開しています。その一端を以下に紹介します。
(1)1999年の米国公衆衛生総監による精神保健報告でリカバリー志向の精神保健ケアが提言され、2003 年、同国においてリカバリーがメンタルヘルスケアの目標として掲げられるに至りましたが、日本ではまだまだリカバリーの概念が取り入れられていません。一方、向精神薬の多くはハイリスク薬に指定されており、双極性障害治療薬も重篤な副作用の報告が多くなっています。このような問題へのアプローチとして、双極性障害の当事者会の研究と医薬品の安全性の研究を行っています。
(2)向精神薬の副作用に関する研究、女性特有の抑うつ性障害である月経前不快気分障害(PMDD)の治療と生活の質(QOL)の改善や費用対効果に関する臨床研究、うつ病や双極症(躁うつ病)の治療ガイドラインの作成への参画などを中心に研究活動を行っています。また、身体症状症をはじめとした各種疾患に対して漢方薬が及ぼす効果(QOLの改善を含む)や、漢方治療の費用対効果に関する臨床研究も計画しています。
(3)慢性疲労状態とうつ状態は職場での過大なストレスがうまく解消されないと、しばしば誰もが経験する状態です。この二つの病態は、厳密な鑑別をすることが困難な場合があります。そして、勤労者のメンタルヘルス相談・治療の場では、短期間の休養では復職に十分な改善が得られないこともしばしばです。そのため、慢性疲労やうつ状態、就労を妨げる深層感情に着目し、その神経基盤と脳可塑性に関して、脳画像により可視化することを目的としています。
(4)実験動物基礎研究:レジリエンス(ストレス耐性、しなやかさ)が重要テーマとなっています。この種の研究では海馬神経新生、神経栄養因子群に焦点が当てられることが多くあります。疲弊した神経細胞網の再構築を考えると、突起の新生、分枝の増強(同化)と同時に、そぐわない突起、シナプス部分の除去(異化)も大切と考えます。そのため神経栄養因子に加えて、異化方向の研究を重ねています。突起刈り込みを担当する免疫関連機構にも、可塑性の面から注目しています。
3年次前期 / 必修 / 1単位
精神と行動の障害に対して全人的な立場から、病態生理、診断、治療を理解し、良好な患者と医師との信頼関係に基づいた全人的医療を学ぶ。
精神医学の重要性は年々増大しており、最近の政府の試算によると2040年には国民の2人に1人は認知症を含めた何らかの精神障害にかかる可能性があるというほど、将来の医学の中では重要な位置を占めるようになると考えられます。
メンタルヘルスは医療現場のみならず職場の健康管理においても必須です。また、身体的疾患のほとんどすべてに精神的要素が混在している面も見逃せません。
精神科の講義は、代表的な症例から学生が主体的に学べるように工夫しています。医学はどの分野であれ、症例が最も優れた教科書です。また自ら考えて調べ、そして仲間と討論して得たものは、単に与えられたものよりも長きにわたって記憶に残ります。ぜひ患者さんと家族の身になって問題解決までの道筋を考えてください。きっと国家試験や、その後の医師としてのキャリアの中で、この講義の経験が活かされるはずです。頑張ってください。
1年次後期 / 必修 / 1単位
2年次前期 / 必修 / 0.5単位
4年次前期 / 必修 / 1単位
4年次前期 / 必修 / 3単位