薬学部 研究室案内
Faculty of Pharmaceutical Sciences
Faculty of Pharmaceutical Sciences
動物レクチンの抗腫瘍メカニズムの解明とがん薬物治療への応用
分子認識学教室では、細胞の表面に突き出ている糖鎖の構造を見分けて結合するレクチンと呼ばれるタンパク質についての研究を進めています。
ウシガエルの卵にはcSBLと呼ばれるレクチンが存在しますが、このレクチンは細胞内でリボ核酸(RNA)を分解することによって細胞死(アポトーシス)をもたらします。特徴的なのは、この作用が主にがん細胞に対してのみ発揮され、正常な細胞には影響しないことです。またもう一つ、ナマズの卵からSALというレクチンを取り出しています。SALはある種のがん細胞に結合して増殖を抑える作用を持ちますが、cSBLと違って細胞死は誘導しません。作用は異なるものの、細胞表面の特定の「糖鎖」に結合することがレクチンのもつ強みです。
私たちは、これらのレクチンの作用機序を明らかにするとともに、抗がん剤として応用できる可能性を探っています。
1年次後期 / 必修 / 1単位
生化学の基礎となる生体成分(糖質および脂質)の構造、性質、役割を学ぶ。また、生命を支えている細胞の成り立ちと細胞間コミュニケーションの概略を分子レベルで理解する。加えて細胞周期、細胞死、がんなど、細胞生物学に関する基本的事項を習得する。
細胞は生命現象の最小単位であり、生化学の場そのものであると同時に、薬物治療における究極のターゲットでもあります。この科目では生命現象の基盤を分子レベルで理解するために「細胞」を中心に据え、まずは細胞をつくっている成分(糖質および脂質)の学習からはじめ、細胞の基本的な構造と性質を理解した上で、細胞分裂、細胞死やがん化など、後に学ぶ薬学応用科目に必須となる知識を習得します。
薬学科 3年次後期 / 選択必修 / 1単位
遺伝子操作やゲノム情報に関する基本的知識を習得し、遺伝子機能や疾患関連遺伝子の解析、組み換え医薬品の作製、医薬品としてのタンパク質、核酸、細胞の適正な利用、遺伝子治療あるいは再生医療に応用できる知識を身に付ける。
遺伝子工学に関連する理論および技術は、病気を引き起こすウイルスの型の判別、犯罪捜査に利用されるDNA鑑定など、医療においては薬剤の開発のみならず病態の解析や診断・治療法の開発など多岐に利用されています。この科目では、遺伝子やゲノムの操作に関わる基本的技術から最新の方法まで、原理を含め分かりやすく解説し、それぞれが目指す専門分野で発揮できる専門知識を身に付けてもらいます。
3年次後期 / 選択必修 / 1単位
生化学系講義の総復習として重要度の高い分野に焦点を当てて演習を行うことにより、知識の確認あるいは苦手分野の克服を目指す。
「生化学」が苦手な人は多いと思います。しかし、薬剤師として人体の病理、病態および薬理を理解する上で、この学問は欠かせない重要なものであることは間違いありません。生化学演習では、このように重要な範囲の中でも、特に薬剤師国家試験やCBTの頻出範囲に重点を置き、練習問題や小テストを通した演習形式によって生化学の知識の習得を目指します。