薬学部 研究室案内
Faculty of Pharmaceutical Sciences
Faculty of Pharmaceutical Sciences
陸棲・海洋微生物、海洋生物、植物などの天然資源を素材とした創薬研究
天然物化学教室では、陸棲・海洋微生物 (放線菌、糸状菌、ラン藻など) や海洋無脊椎動物 (海綿、ホヤ、軟体サンゴなど)、植物を中心とした自然界に存在する生き物 (天然資源) から「薬の種子 (シード)」 を見つけることを目的として、新規生物活性物質 (天然物) の探索研究を展開しています。天然物は構造の多様性と興味深い生物活性から、上市されている低分子医薬品のうち実に6 割が何らかの形で役立っています。我々はフィールドワークで天然資源を集めることから始め、その培養液や抽出液をライブラリ化します。次にこれらの中から生物検定試験 (バイオアッセイ) の結果を指標に活性物質の単離精製を行い、最終的に立体を含めた天然物の化学構造と生物活性を明らかにします。
現在は感染症治療薬、抗がん剤や生活習慣病治療薬のスクリーニングを中心に進めています。また採取の過程で得られる希少な微生物・海洋生物について、LCMS を利用した代謝産物の網羅的な解析・取得を行い、オリジナルの天然物ライブラリの構築にも努めています。
さらに天然物の新たな可能性を引き出すために、特殊培養条件の検討、生合成経路の解析、構造活性相関研究やケミカルバイオロジー的なアプローチによる活性発現機構の解明などの応用研究も行っています。
薬学科3年次後期 / 必修 / 1単位
医薬品開発における天然物の重要性と多様性を理解するために、自然界由来のシーズ(医薬品の種)および抗生物質などに関する基本的知識と技能を修得する。
本科目では多種多様な構造と生物活性を有する天然有機化合物 (天然物) が、自然界でどのように作られ、いかにして生体内で機能するかを学習します。複雑な天然物の化学構造も、ある一定の規則によって作られます。また、天然物のさまざまな作用機序は大きな魅力の一つです。
講義期間の前半は天然物の生合成経路について、後半は天然物由来の医薬品の作用機序を中心に解説します。あらかじめ講義範囲に相当する教科書の内容に目を通し、講義に臨んでください。また講義中は、使用するスライドと同じ内容のプリントを配布するので、それに各自で補足・書き込みを行ってください。
生命薬科学2年次後期 / 必修 / 1単位
医薬品開発において、重要な供給資源の役割を担ってきた微生物由来のシーズ(医薬品の種)に関する基本的知識の理解に加え、海洋生物資源由来のリード(医薬品開発の出発点となる化合物)に関する近年の創薬研究についても学習する。
本科目は「生薬学I」(2年次前期) で学習した生薬由来以外の天然医薬品 (微生物由来の抗生物質や海洋生物由来の抗がん剤) の化学構造的な特徴や作用機序、また、その応用研究について解説します。
講義内では教科書や配布したプリントに沿った解説講義に加え、各医薬品の発見経緯や開発研究にまつわるエピソード、最近の研究トピックの紹介を交え、卒業研究や大学院進学への関心・興味につながるきっかけを提供します。
薬学科2年次後期 / 必修 / 1単位
自然界に存在する物質を医薬品として利用するために、代表的な天然物質の起源、特色、臨床応用および天然物質の含有成分の単離、構造、物性、生合成系などについての基本的知識と、それらを活用するための基本的技能を修得する。
本実習では未同定の生薬から単一の化学成分を分離していく過程に始まり、溶媒抽出、液々分配、カラムクロマトグラフィーおよび再結晶といった基本的な実験技術の習得に加え、有機溶媒の極性や化学物質の性質の違いを学びます。
これらの手法は古典的な方法ではありますが、研究室でも頻繁に使用される技術であり、最新の技術においても常にベースとなる考え方です。研究室への配属後も活かせる経験ですので座学から飛び出し、積極的に取り組んでみてください。