生涯教育講演会・研修会

LECTURES

第18回 東北医科薬科大学生涯教育講演会

日時: 平成23年11月5日(土) 14:00~17:00
会場: 東北薬科大学講義棟 70周年記念講堂

講演1

「心の健康を保つメンタルヘルス」
~まずは自分自身のケアから~
東北薬科大学心理学教室 准教授 杉山 雅宏

講演2

「長期実務実習の検証と改善に向けて」
 ~当院の実務実習の成果と課題を中心に~
東北労災病院 薬剤部長 土屋 節夫

  • 参加費:無料
  • 認定制度
    薬剤師研修センター認定: 2単位
    日本病院薬剤師会生涯研修認定:1.5単位

講演会要旨

講演1 要旨

「心の健康を保つメンタルヘルス ~まずは自分自身のケアから~」

東北薬科大学心理学教室 杉山 雅宏

カウンセラーをしていて、日々たくさんの人たちの“こころ”とつきあい実感していること。それは、「ちょっとしたことでくよくよしてしまう」「落ち込むと、そこからなかなか抜け出せない」「いつも悩んでばかりいる。そんな自分が嫌になる」こんな気持ちを抱えている人や学生さんが実に多いということです。

見ていると、真面目で頑張り屋の人ほど、考えに考え抜いて、悩みを解決しようと頑張りすぎてしまうようです。しかし、残念ながらそれではうまくいきません。考えれば考えるほど、悩みの迷路をさまようことになるからです。

“気がかりなこと”の原因を考えれば考えるほど、また、解決しようとして頑張れば頑張るほど、深みにはまってしまい、悩みから抜け出せなくなるものです。
さて、最近企業の方々から「最近の若者は、何を考えているのかよくわからない。仕事を教えようとしても、言葉を選んで伝えないとすぐに傷ついてしまったり、少し厳しく言うと、逆ギレされてしまったり・・・。指摘をすれば、怒られたと落ち込む。指導する側が気を遣いすぎ、ストレスで参ってしまう。どのように対応したらよいか」という相談を受けることがよくあります。皆さんも、日々学生さんと対峙し、同種の悩みを抱えていらっしゃるかもしれません。

カウンセラーは時として、世間の常識とは異なる発言を繰り返すことがあります。例えば、苦難を乗り越えようとしている人を励ますときに、常識的には“頑張れ!というメッセージを伝えます。しかし、私は”頑張らなくてもいいんだよ、うろうろしていたら“と伝えるときもあります。

心の健康を保つ最大の秘訣は、自分に優しくなることです。自分に優しくなれない人は、他人にもやさしく関わることはできません。「ちゃんといい加減」この程度の感覚も時には必要だと思いませんか。

今回の講演では、相談室での事例や最近の学生さんの現状を踏まえ、カウンセリングに関する少し変わった考え方を紹介したいと思います。皆さんが少しでも楽な気持ちで学生さんの指導に尽力していただけますように、「自分を労わることがあってもいいんだよ」という応援をさせていただきます。

過去と他人は変えられません。変えられるのは自分だけです。

講演2 要旨

「長期実務実習の検証と改善に向けて~当院の実務実習の成果と課題を中心に~」

独立行政法人労働者健康福祉機構 東北労災病院 土屋 節夫

平成22年5月17日

それは私達にとって記念すべき日となりました。
そうです。薬学教育6年制における長期実務実習が始まった日です。

実務実習モデル・コアカリキュラムの完成から、事前学習1ヶ月及び病院・薬局それぞれ2.5ヶ月の実習期間の決定、そして認定実務実習指導薬剤師の養成、受入れ施設の調整等々の準備を経て、平成22年5月17日に長期実務実習が始まりました。

その間、宮城県病院薬剤師会・宮城県薬剤師会ともに認定実務実習指導薬剤師養成ワークショップへの薬剤師の派遣やビデオ講習会を開催してきました。さらに、宮城県病院薬剤師会では平成20年10月3日から平成22年3月18日にかけて「みやぎ薬薬薬連携研修会」を9回開催し長期実務実習のスタートに備えてきました。

平成23年6月30日現在、全国の認定実務実習指導薬剤師数は17,829名(病院:5,765名 薬局:12,064名)で、宮城県は373名(病院:127名、薬局:246名)となっています。

受入施設の一つである当院は病床数553床にもかかわらず、薬剤師数が16名で決して実務実習に恵まれた環境の病院とはいえませんが、東北薬科大学から約800mの近距離にあることから、昨年度は35名(第1期12名・第2期11名・第3期12名)、今年度も第1期、第2期それぞれ12名の実習生を受入れています。その間、各期とも実習最終日に実習生を対象にアンケート調査を実施してきました。

大学側も受入れ施設側も試行錯誤を繰り返しながらも、更なる充実した実務実習を目指されているところだと思います。

今回これまでのアンケートの調査結果及び実習生達が行ったSGD「実務実習の問題点」等から病院・保険調剤薬局を問わず、ご参考にしていただけるような内容でお話ししたいと思います。