薬学部 研究室案内
Faculty of Pharmaceutical Sciences
Faculty of Pharmaceutical Sciences
がん・神経炎症などの疾患における糖鎖発現の意義とその機能制御の解明
私たちは、糖鎖がタンパク質の機能や細胞の振る舞いにどのように関与するのかを明らかにしています。タンパク質が機能を獲得するために、翻訳後修飾が重要な働きをすることがポストゲノム研究でわかってきました。実際、タンパク質の半数以上には糖鎖が付加され、糖鎖は最も多い翻訳後修飾の一つです。糖鎖は糖が数個から数百個連なった分子ですが、その構造はとても複雑で、さまざまな生物機能の発信源と考えられています。これまで、糖鎖のはたらきというと、タンパク質の働きを補助する、いわゆる脇役として認識されてきました。近年、糖鎖合成の異常により起こる新しい疾患群(先天性糖鎖合成異常症; CDG: congenital disorders of glycosylation)で、100以上の疾患があると推定され、糖鎖が主役になるケースも増えています。また、糖鎖の異常は、がんの転移・浸潤、感染、神経変性疾患、糖尿病などの生活習慣病などの様々な疾患に関わることも明らかになってきました。
私たちは、がん化、がんの転移や浸潤、ウイルス感染、神経炎症などに加え、がん細胞の薬剤耐性にも注目し、疾患と関係の深い糖タンパク質を同定し、その機能解析を行っています。そして、糖鎖のはたらきが損なわれた際に、細胞レベルや個体レベルで発生する異常をヒトの病気に結びつけ、あるいは、病気の時につくられる糖鎖を調べ、糖鎖の異常により発症する病気を見つけていこうと考えています。最終的には、病気に関連する糖鎖を正常な糖鎖に戻せるような化合物や手段を見つけだして、それぞれの疾患に対する新規な糖鎖治療薬の開発を目指します。
薬学科3年次前期 / 必修 / 1単位
英文学術論文の通読あるいは英文医学情報の調査・読解を通して、生命科学研究あるいは薬剤師業務に必要な応用的英語力の養成を目的にしています。
薬学英語IIIは、いわば薬学英語のアドバンストコースです。単に英語を訳すだけではなく、書き手の意図を正しく理解し、相手に適切に伝える能力が求められます。あらゆるメディアを教科書とし、普段から積極的に英語に接して敏感に反応する姿勢を身につけましょう。
薬学科3年次後期 / 選択必修 / 1単位
多くの生命現象に関わる生体高分子の機能を理解するために、タンパク質・核酸・多糖・脂質の立体構造やそれらの相互作用に関する知識を習得することを目的にしています。
薬と体の反応を理解するのに生体高分子の構造を理解することは、非常に役立ちます。なぜならば、生体高分子の構造と機能は非常に相関しているからです。1,2年生で学んできたことを基礎にしています。これまでに学習してきた生命現象と本授業の内容を結びつけるように心がけてください。なぜ体の中ではそのような反応が生じるのか・・・といった疑問が解けると思います。
生命薬科学科2年次後期 / 選択必修 / 1単位
細胞の構造や機能を分子レベルで理解し、生命現象を論理的に捉える力を養います。分子生物学・遺伝子工学の基礎知識を身につけ、分子の動きや情報伝達の仕組みを学びます。あわせて、生命倫理への理解も深めます。
細胞膜や小器官、タンパク質の輸送・修飾、接着など、生命科学の基本を幅広く学びます。教科書の知識を、医療や研究でどう活かせるかを意識して学びましょう。幹細胞医療や分子標的治療にもつながる内容です。生命を扱う者としての倫理観も大切にしてください。
生命薬科学科3年次前期 / 必修 / 1単位
本実習では、DNAやタンパク質を扱うための基礎的な分子生物学的手法の習得を目的としています。あわせて、遺伝子組換え生物の使用に関わる法規制(カルタヘナ法)についての理解を深め、安全かつ適切な取り扱いができるようになることを目指します。
分子生物学の実験技術は、薬学・薬科学分野の研究において欠かせない基盤です。本実習では、「生化学Ⅰ~Ⅳ」や「遺伝子工学」などの講義で学んだ内容を、自らの手で再現しながら理解を深めます。PCR、組換え、タンパク質の発現など、基本的な操作を通して、遺伝子やタンパク質を正しく扱うための知識と技術を身につけましょう。実習はグループ単位で行い、実験の楽しさに加えて、協力・討論の重要性も体験します。将来、研究や実務に応用できるよう、実験手技だけでなく科学的な考え方も意識して取り組んでください。