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中級バイオ&上級バイオ技術者認定試験合格!
高いスキル保有の証明を将来の就職に活かす

生物に関する研究者として、医薬品はもとより化粧品や食品、燃料開発といった多岐にわたる研究で活躍するのがバイオ技術者です。生物の構造やシグナル伝達、タンパク質などを研究・解析し実用化へと導く近年注目の民間資格であり、医療分野では再生医療に欠かせないスキルとなりました。わが東北医科薬科大学ではその有用性にいち早く注目、分子認識学教室・菅原栄紀准教授の指導の下、多くの合格者を輩出してきました。2023年度には中級バイオ技術者認定試験に薬学科5年生1名、薬学科3年生9名、生命薬科学科2年生16名が挑戦し、25名が合格(合格率96.1%)。そして上級バイオ技術者認定試験では受験した薬学科3年生3名、生命薬科学科4年生1名、生命薬科学科3年生3名の全員が合格を果たしました。今回は、上級バイオ技術者認定試験で本学初の成績優秀者として表彰された天江龍太郎さん(薬学科3年)、野村桜子さん(生命薬科学科3年)のお二人と菅原栄紀准教授にお話を伺います。

  • 薬学部

    菅原 栄紀 准教授 Shigeki Sugawara

    東北医科薬科大学
    薬学部分子認識学教室
    准教授

  • 薬学部

    天江 龍太郎さん Ryutaro Amae

    東北医科薬科大学
    薬学部薬学科
    3年生

  • 薬学部

    野村 桜子さん Sakurako Nomura

    東北医科薬科大学
    薬学部生命薬科学科
    3年生

菅原バイオ技術者の資格はあくまでも民間資格であり、その意味では国家資格よりはまだまだ社会的認知度は低いとは思います。しかし、最近では「うちでは社員にバイオ技術者資格を取得させています」という企業も増えてきており、在学中に資格取得した学生が就職活動の面接の中で「この資格ってどういう資格?」と非常に興味を持って訊かれることも多いそうです。これから先、認知度がさらに上がる資格であることは間違いないと私は考えていますので、在学中に取得しておいて損はないですし、それを求めている企業とのマッチングにおいては双方にとってメリットのある資格だと思っています。

天江3年生後期の遺伝子工学の授業で、菅原先生に訊いて初めて知った資格でしたが、僕はそもそも生物全体が好きで、生物の進化についての書籍や映像をずっと見たりしていました。このバイオ技術者資格試験を受けようと思った第一の理由は、やはり生物の進化において遺伝子の関わりは重要で、バイオ技術はそうしたところにも繋がってくるな、と思ってすごく興味を持ったこと。もう一つの理由が、薬学の分野でもモノクローナル抗体製剤や、最近だとバクテリオファージ療法といったバイオ技術が使われているので、こうした知識を持っておくというのは将来的にも役に立つかな、と思ったことです。

野村私も1年次のキャリア開発講座で菅原先生から伺うまで、こうした資格があることはまったく知りませんでした。でも、もともと大学に入る時から将来は研究をしたいと考えていて、分野も生命科学系の方に進みたいなと思っていました。バイオ技術者の資格を取るにあたって、その勉強の内容が生命科学全般に関わるものだったので、そうした基礎知識を持っていること自体が大事かな、と思い受験しようと決めました。

菅原おふたりがバイオテクノロジーを主に扱っているような企業に行くのであれば、十分有効に活用できる資格だと思います。バイオ技術者資格には初級、中級、上級という3つのクラス分けがあるのですが、おふたりは今回、一番高いグレードの上級資格を取得しました。これは、指導的立場に立てる資格です。中級までは、指導者の下で研究や開発を行わなければならない制限付きです。しかし上級取得者は、指導者として人に教えることができる。研究所や企業も大いに期待を高めている資格でしょう。おふたりは、試験の手応え的にはどうでしたか?

野村一所懸命、勉強して臨んではいたのですが、問題を読んですぐ分かる・分からないと判断がつくというよりも、自分の今まで培ってきた知識を使って考えて解く、といった問題ばかりだったので、難易度は高かったのではないかと思います。

天江ですね。問題に対峙した時にちょっと「大丈夫か、自分」「解けんのか」みたいなドキドキものだったのですけど、蓋を開けてみたら合格どころから表彰状までもらえたので本当に良かったです。

菅原おふたりはきっと、過去問集を念入りに解いて試験に臨んだと思うのですが、2023年度は中級・上級ともに傾向が新しめだったし、難易度も上がっていたという印象。正直、「これは厳しいな」と思ったのですが、結果としてはすばらしい合格率だったので、みんなすごく頑張ったんだろうな、と感心しました。おふたりはどのような勉強の仕方をされましたか?

天江1年生だと生化学や生物学、2年生だと機器分析、免疫学、病原微生物学。そして 3年生の遺伝子工学といった薬学部の授業で学べることをちゃんと勉強して基礎固めをしました。そして、問題集の中に「こういう用語出てくるから、分かっててくださいね」みたいなポイントがあるのですが、その中の自分が分からない用語をピックアップして調べていきながら自分で纏めていった感じです。アドバイスするとすれば、植物のバイオテクノロジーについてですかね。僕はもともと高校で生物の授業をとっていたので、ある程度は分かっていたのですが、医学部や薬学部に進む多くの人は物理を選択する場合が多いです。そうすると植物についてはゼロからになるので、そこは重点的に勉強したほうがいいと思います。

野村私も高校では生物を選択していたのでそこは助かりました。でもだいぶ間が開いたので忘れていることも多くて。問題集の問題を見た時に分からなかったり忘れていたりしたら、すぐにネットで調べて、ノートに纏めて理解できるまでスルーしない、というスタイルで勉強しました。試験勉強の内容は大学の授業内容と被る部分も多かったんですけど、完全には覚えきれていなかったり、深掘りしきれていなかったりした部分を、自分で時間を作って調べることもできたのがよかったです。あとは、一緒に試験を受けた友人とよくカフェテリアに残って勉強していたのですが、人によって疑問を持つところが違ったりするので、それぞれ疑問を出し合って、みんなで調べて、というスタイルで、いろんな視点から分からないところを徹底的に減らす、ということをしていました。もともと興味のある分野だったので、勉強していてすごく楽しかったです。

菅原医薬品をはじめ、バイオテクノロジーを使った新技術や商品がどんどん出てきているいま、試験もその最先端の知識がないと解けない問題になっています。上級は特に、“いま”を把握していないと解けないし、テクノロジーなので技術的なところもきっちり分かっていないといけない。表面だけじゃなく、それがどういうメカニズムなのかっていうところまで分からないと解けない。それだけ、社会におけるこの分野の重要度が高まっている証左だともいえます。

野村私は将来、やはり研究の方面に進みたい。その研究を考える上で、自分が探求する分野のことだけを知っていればいいとは思わないので、バイオテクノロジーを含む生命科学系の基礎的な知識を自分の研究を考える材料にできたらいいな、と思います。

天江バイオ技術者資格そのものは、僕が目指している薬剤師にとって必須ではありません。けれど、人よりも多く知識を持っていることで今後の勉強にも役立つだろうし、薬剤師として社会に出た時に「じゃあこの薬について患者さんに説明してください」という場面でより詳しい説明が出来たり、説得力を持って患者さんの手助けができるかな、と思っています。

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