TMPU ACTIVITIES 7

個人に合わせた指導・アドバイスで
ストレート進級&国家試験合格を目指す

  • 医学部

    中村 豊 教授 NAKAMURA Yutaka

    医学教育推進センター長

創設から8年目を迎えた東北医科薬科大学医学部。第一期生が卒業を迎えた昨年の国家試験は受験者93名中90名が合格、今年は受験者95名中合格者94名と非常に高い合格率を誇っています。

その礎にあるものは、学内での進級率だと医学教育推進センター長の中村豊教授はおっしゃいます。東北医科薬科大学医学部が大切にしている医学部教育の理念について、中村教授にうかがいました。

ストレート進級率の高さが
合格率に直結

医学部医学科に在籍する学生の最大の目標である医師国家試験を突破するためには、1年次から6年次までの進級をストレートに達成していくことが重要です。1年次からひとつひとつの知識や経験を積み上げ、積み上げたものをさらなる年次の礎として理解を深めていくことで、付け焼刃では突破できない国家試験への大きな力になる。目に見える点数だけに限ったことではありません。授業や試験、更には臨床実習に取り組む姿勢や望ましい人間性などが身についていてこそ進級が適うわけですから、我々教員は日ごろから学生と相対し、話し合い、サポートすることを業務としています。

アドバイスに留まらない
実践的指導

まずは担任制。6年間の教育期間すべてに担任が付いており、学生の身近でひとりひとりと接することで、不調に気付いてケアしたり、相談しやすい態勢を作ったりと学生生活を支えています。実際、成績の揮わない学生に対するケアについてはいくつも対策が練られてきましたが、やはり大元の原因には1年次2年次での躓きがあるんですね。特定の科目に遅れがある、というよりは、授業への取り組み方や勉強の仕方そのものにうまくいかない問題があったりする。そうした点を担任制によっていちはやく見つけて、医学教育推進センターとしても面談を行っています。具体的に、どういう勉強法をしているのか、自分では何が問題だと思うかを聞きだした上で、担任や私たちから客観的な分析を加えたアドバイスをします。例えば、高校の勉強から大学入試にかけて物理を選択した学生の場合、入学後の医学部ではやはり生物学的な考え方がメインになるので、そこにうまく切り替えができない子が出てくる。ともすると、高校の生物の勉強に立ち返って教えなければいけないこともあるんです。マークシートの問いは解けるけれど、記述式になると途端に書けなくなる学生もいます。これまでライティング、論述力技術力を学ぶ場がなかったんですね。そうした個々の問題を解決していくために、センターでは、アドバイスに留めるだけでなく実際に一緒に勉強して、実践の中で指導することも多いです。

卒業生へのサポートも
国家試験合格まで継続

何らかの要因で国家試験を突破できなかった卒業生も、次年度には必ず合格できるようサポートを続けています。2ヵ月に一度、定期的に面談をして模擬試験の結果について話し合ったり、体調管理についてのアドバイスをしたり。孤独にさせないこと、モチベーションを保ち続けることができるようサポートすることがやはり大事ですから。昨年に既卒となった学生も、今年3名全員が国家試験合格を果たしました。

卒業後、東北の地域医療に貢献してもらうまでが本学の使命

東北医科薬科大学の医学部医学科は、東日本大震災からの復興のため「地域医療に貢献する医師を輩出する」ことを目的として創設されました。全国各地から集まってくれた学生達が卒業後、東北地方に定着して地域医療に貢献してもらうまでが本学の使命なのです。そのため本学の地域医療教育は、同じ地域を、同じ仲間と繰り返し訪問して、その地域に対する理解と愛着を深めながら行うという独自の方式を取っています。我々が理想とする医学部教育は、国家試験合格がゴールではないんです。合格のその先にある、すばらしい医師を育てること。ですから6年間を通しての人格育成や医師としての規範の徹底にも注力していますし、学生と実習の在りかたについても同様です。多くの病院で表面的な見学実習を行うよりも、ひとつの病院でその病院ならではの医療や地域の特色・課題、さらに住んでおられる方々としっかり向き合い自分は何をすることができるのか、明確な目標をもった方がいい。学生が実習で訪れた病院にその後臨床研修医としてお世話になっているものが多く、我々としては大変嬉しく思っています。

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