TMPU ACTIVITIES
共に学び、交流することで、
将来の多職種連携へ、大きな力に。
本学の特徴の一つは、薬学部・医学部の学生が一緒に学ぶこと。
これによって得られるメリットや地域医療などをテーマに、
両学部の教務委員長と学生委員長に話を聞きました
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薬学部
吉村 祐一 教授 Yoshimura Yuichi
教務委員長
分子薬化学教室 -
薬学部
米澤 章彦 教授 Yonezawa Akihiko
学生委員長
薬学教育センター -
医学部
大野 勲 教授 Ohno Isao
教務委員長
医学教育推進センター -
医学部
河合 佳子 教授 Kawai Yoshiko
学生委員長
生理学教室
Q1先生方から見た、
それぞれの学部の特徴を教えてください。
米澤薬学部は80年を超える歴史と伝統が強みです。卒業生は2万4000名近くにもおよび、他の薬系大学と比べても非常に多い人数で、社会に出てからも経験豊富な先輩方がサポートしてくれます。
大野医学部は東日本大震災をきっかけとして、2016年に設立されました。東北地方の地域医療を支える医師を養成することがミッションです。また薬学部の薬学科、生命薬科学科と連携し、幅広い医療領域をカバーできることも本学部ならではといえるのではないでしょうか。
吉村地域医療への貢献は、薬学部も注力して取り組んでいかなければなりません。2025年を目処にした地域包括ケアシステムの実現へ向けて、薬剤師には医師と連携し、住民の健康を守る役割が期待されています。このような時代に、薬学部と連携した医学部が誕生したというのはとてもタイムリーでしたね。
河合私は医学部の設置と共に赴任しましたが、薬学部の学生支援の手厚さに驚きました。まだ医学部の歴史は始まったばかりですが、薬学部で培われた組担任制度などのノウハウを踏襲し、アレンジすることで生徒一人ひとりに向き合うようにしています。
Q2両学部の学生が一緒に学ぶ意義や
メリットは何でしょう?
大野現在、必要性が叫ばれているチーム医療を実現するためには、医師と薬剤師が互いの考えを共有し、足りない部分を補っていかなければなりません。しかし、これまで日本の医療教育において、薬学部と医学部が一緒に教育を受ける機会はほとんどありませんでした。その要因の一つとして、多くの大学では医学部が薬学部より歴史が長いことが挙げられます。本学は伝統ある薬系大学に医学部が加わったため、スムーズに連携を図ることができています。
米澤本学では低学年の段階から、両学部合同の授業や体験学習を実施しています。薬学部の「薬学入門演習」や医学部の「早期医療体験学習」などが、その一例です。特に、一つのグループに両学部の学生が混在し、共通のテーマをもとに議論を深め合うSGD(スモールグループディスカッション)は、それぞれの考え方や立場への理解を深めることができ、将来、彼らがチーム医療を実現する上で貴重な経験となることでしょう。
吉村これらの連携は、「対薬」ではなく「対患者」の視点で考える薬剤師を育成するために大きな意味を持ちます。薬学部では臨床教育の機会が少なかったのですが、医学部と附属病院が加わったことで、教育・研究の幅が大きく広がりました。
大野これまで大学の附属病院というのは、医学部のための教育施設でした。しかし、本学の附属病院は薬学部のための施設でもあり、それぞれの学部にとって効果的な学習機会を設けることができますね。また昨今、薬剤師が患者さんに向き合う上では「副作用の発見」が課題とされています。高齢者は複数の病気を持っているケースが多いため、薬剤師は処方全体を見通すと共に患者さんの症状を見て、薬の副作用の可能性について考えなければなりません。この課題についても、医学部がお手伝いできると考えています。
米澤このように両学部が連携したカリキュラムの作成には、今後も力を入れていかなければなりません。また、医学部の学生は2年次まで小松島キャンパスに通学することになりますが、授業以外の部活動も両学部の学生達が一緒になって行っています。こういった交流の中で、人間関係や信頼関係を構築していくことも、将来、医療現場で他の職種と連携する際にきっと活きるはずです。
河合薬系、医系の大学としては部活動の数が多いのも本学の特徴ですね。大学は多様性のあり方を学ぶ場でもあるので、たくさんの人や価値観に出会い、コミュニケーションを学んで欲しいと思っています。
大野そうですね。将来、医療現場へ出てからは医療人だけではなく、患者さんにも意見が異なる人がいます。そういった場合にどう向き合っていくか、自分なりの答えを探す経験は、医療の道に進む人にとって良い機会になりますね。
Q3近年は、地域医療における
多職種連携のあり方が問われています。
河合私は医師として働いていた経験から、地方の医療リソース不足を痛感しており、医師と薬剤師をはじめとする多職種連携の必要性を感じています。その成功事例の一つに、長野県のケースがあります。短命県だった同県では医師や薬剤師と連携した保健師が、住民の塩分摂取量を減らすために、ご家庭に出向いて味噌汁の塩分計測まで行ったと聞いています。このような地道な地域医療を続けた結果、長野県は長寿県に生まれ変わりました。まさに医療の枠を超えた、多職種連携の理想的な姿だと思います。
吉村それは驚きの内容ですね。近頃では厚生労働省が「健康サポート薬局」という制度を打ち出しており、いわゆる「かかりつけ薬局」として未病の段階による適切なケアによって発症を抑える役割を薬剤師に求めています。そういった薬剤師がいれば地域の医師も安心して、患者さんに向き合うことができますよね。
大野そのような包括的な地域医療を実現するためにキーワードとなるのが、職種間の「情報共有」です。私が担当している「チーム医療体験学習」では医学部の1年次に、病院や薬局などを訪問し、さまざまな職種が連携する必要性や問題点を学びます。専門教育を受ける前に実際の現場を体感することで強く印象に残るため、地域医療に貢献する医師としての素地づくりに大きな意義があると考えています。
Q4最後に入学を検討している学生に
一言お願いします。
河合医学部には、決められた道がない所で活躍したいという、開拓者精神のあるタフな方に入学してほしいですね。医師は卒業してから、難しい局面に何度も遭遇します。そのような場面を迎えた時にも、十分に職責を果たせる力を本学で養ってください。
吉村薬学部は薬剤師、研究者、技術者を目指す人には、恵まれた環境が用意されています。教員の研究実績は豊富で、国家試験の対策も万全です。これからさらに医学部と連携を強めることで、より魅力ある大学にしていきたいと考えています。
米澤教育・研究・学生支援という大学生活における三本柱の総合力では、東北・北海道の私学でトップクラスだと自負しています。少し難しく思えるかもしれませんが、ぜひ、本学のアドミッションポリシーを読み、共感してくれる学生の皆さんを待っています。
大野私が学生に求めるものは「志」だけです。卒業後、社会に貢献するために何の仕事に就くか、どのような人物になりたいかという将来像を、常に意識して学生生活を送ってほしいですね。授業や試験、国家試験対策など、大変なこともあると思いますが不安になる必要はありません。皆さんが夢を叶えるために、我々がしっかりサポートします。